平成25年度(3年目)は、これまでに引き続きアメラジアンスクールにて同校の中学生を対象とした社会科(公民)教材の作成/授業実践を行った。それに加えて、生徒の社会科学習歴の調査や、公立校の日本語担当教員の方との意見交流などを行い、そこで得られた知見を教材作成にいかすことができた。 複数の教育機関を移動する生徒が、どのような学習をしてきているのかを把握するのは難しく、カリキュラムを作成する上でもそのことが大きな課題となっていた。そこで、平成25年度はオーストラリア、アメラジアンスクール、公立中学校と移動した特定の生徒に焦点を当てて、各教育機関で学んできた社会科学習の内容を把握するための一覧表を作成した。これにより、「研究の目的」で記載した「日本語以外の言語での学びの状況の実態」の詳細について把握することができた。 平成25年度に作成した公民学習教材は、引き続き生徒の日本語力や移動歴の多様性を考慮にいれながら、学習指導要領に記載された学習内容についても理解できるようにするためのものである。また、地理歴史学習で得られた知見をもとにして、公民学習では実際に沖縄で働かれている大人のアメラジアン方などをゲストとして授業に呼び、話をしてもらうことができた。これにより、生徒は学習内容を自らとの関わりにおいて捉えることができるようになり、主体的に学ぶことが可能になった。 さらに、東京学芸大学のJSL研修などに参加し、作成した教材についての意見交流をすることができた。平成24年度までは日本語教室担当者ではない方々との交流を踏まえて教材作成を行っていたが、平成25年度からは新たに日本語教室担当者からの声を取り入れることができ、より現場の実情に即した教材作成が可能になった。
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