本研究では、従来の太平洋地域をテーマとした学習活動について、ポストコロニアルな視点からの検討を通してその問題点を示し、グローバル時代におけるポストコロニアルな視点にたった太平洋学習の意義を明らかにし、教材を開発し授業実践を行い、意義を検証する。 3年目の当該年度は、2年間の蓄積をもとに成果を実践的に検証・表現し、発信することに重点を置いた。国立民族学博物館でのマリアナ諸島に関する展示の調査、博物館と学校教育の連携を生かした教員研修会におけるチャモロダンスをテーマとしたワークショップの実施(8月)、グアムの先住民文化維持運動にとりくむFrank Rabon氏らを招聘して日本でワークショップを開催(10月)、グアムで開催された日本とグアムをつなぐ展示会「East Meets West」への研究者本人と日本人学生がポストコロニアルの視点にたったグアム理解の成果として表現したコラージュ作品の出展(9月)、またその展示会の縮小版展示を大学キャンパスにて開催(10月)、韓国国際理解教育学会大会における本研究成果発表(11月)、グアムのコロニアルな歴史をダンスと歌および詠唱によって表現し、ポストコロニアルな主張を込めたパフォーマンスをグアムにて研究協力者らと公開(2月)することができた。 これらの活動を通して、グローバル時代におけるポストコロニアルな視点にたった太平洋学習は、西洋中心的な歴史観を脱し、複雑な関係性における諸地域間の歴史的・社会的な人々の営みを発掘し、学習者に多層的な視点を育成する意義があることを、実践的な教材開発をふまえて検証することができた。
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