研究課題/領域番号 |
23730846
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 恭子 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (70350965)
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キーワード | パーソナリティー / 音楽経験 / 音楽聴取 / ストレス / 唾液 / 不安 |
研究概要 |
平成24年度、本調査を引き続き行った。調査では、音楽経験に関する質問紙、気分調査であるPOMS、不安を測定するSTAI、パーソナリティーに関するYG検査、同じくパーソナリティーに関するエゴグラム、唾液採取によるデーター収集を実施した。POMS、STAI、YG検査、エゴグラムについては、因子ごとの数値を算出するなど、データーの計算がすべて終了した。唾液調査については、株式会社SRLによって、クロモグラニンA・分泌型IgA・コルチゾールについて、可能な限りの解析がなされた。 また、研究結果報告の第1段階として、エゴグラムと音楽経験の因果関係をパス解析を用いて検討した。その結果、音楽経験とエゴグラムのFC、音楽活動時期の大学生とFCに強いパスが認められ、音楽の芸術性が創造性の向上や情操面に影響しているのではないかという考察を得た。なお、FCに関しては渡辺等の他の研究で育児ストレスの軽減に関与するとの結果が得られており、育児ストレスと音楽経験との関連も今後の検討課題であると思われる。さらに、音楽経験の頻度とNP、音楽活動時期の高校生・大学生とNPにも強いパスが認められ、音楽の非言語的コミュニケーション性が共感性の向上に影響しているのではないかという結論を得た。加えて、どのような音楽経験であったか(楽器の種類・音楽活動の種類など)とエゴグラムにも因果関係が認められることから、この事に関する更なる考察が必要であると推察された。上記の結果については日本音楽教育学会東海地区例会にて『音楽経験とパーソナリティーの関連についての一考察』という演題名で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書にあるとおり、平成24年度以降に本調査を行いデーター収集を実施することになっている。前述のように、平成24年度に本調査が実施され、データーの計算も終了した。 さらに、エゴグラムと音楽経験との因果関係についてパス解析を行い、音楽経験とFCの関連が認められること、音楽経験の頻度とNPの関連が認められることなどある一定の結論を得た。従って、現在までに、本研究は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、可能であればさらに対象者数を増やすため、音楽経験に関する質問紙、POMS、STAI、YG検査、エゴグラム、唾液に関する調査を継続して行う。調査が実施された場合には、順次、各質問紙について因子ごとの数値の算出などを行いデーター計算を実施する。 また、前年度収集し計算したデーターをすべて入力する。入力は8月末頃までに終了する予定で、その後、統計的な分析を行う。上記の追加調査については、計算が終了次第、逐次、追加入力する。 その分析結果を考察し、研究成果としてまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
追加調査を行う場合には、POMS、STAI、YG検査、エゴグラムなど質問紙の購入費として使用する。さらに、唾液の解析を株式会社SRLに依頼するので、解析料として使用する。 また、平成24年度までに収集したデーター入力のための人件費として研究費を使用する。 加えて、可能であれば研究成果の公開のために使用する。
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