本研究では音楽経験とパーソナリティー傾向の関連と、音楽聴取による心理・生理学的変化における音楽経験の有無と質の影響について検討した。第一に、音楽聴取前後の生理学的指標の変化を検討した。その結果、音楽聴取によるストレスの減少が示唆されたが、音楽経験の有無による差異は認められなかった。第二に、音楽聴取による心理的作用を検証し、音楽経験と心理的作用の関連について検討した。その結果、音楽経験のない方が分析的に音楽を聴取しないため気分変化をもたらしやすいと推察された。第三に、パーソナリティーと音楽経験の関係について、音楽経験は創造性や積極性に影響を与え、音楽活動が共感能力に影響を与えるとの考察を得た。
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