研究課題/領域番号 |
23730850
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
大久保 賢一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40510269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 問題行動 / 行動問題 / 教員研修 / 応用行動分析学 / 機能的アセスメント |
研究概要 |
本研究は2年計画の2部構成である。第1部においては、行動問題の解決に関するスキルの中でも特に、「情報の収集と整理(アセスメント)」と「支援計画の立案」を標的とした研修プログラムの開発を行い(平成23年度)、第2部においては、第1部で開発した教員研修プログラムを実際の事例に対して適用し、その効果を検証する(平成24年度)ことを計画している。 平成23年度の第1部については、予定よりも対象者数の規模を小さくしたものの、概ね予定通りに研究計画を遂行することができた。第1部においては教員養成大学の大学生6名を対象に行動問題の解決を標的とした3日間の研修を実施した。研修の内容は「講義」と「演習」の2本立てであった。「講義」は応用行動分析学に関する基礎と機能的アセスメントと行動支援計画立案の方法論と手順について解説するものであった。「演習」は参加者が立案した支援に対してチェックリストを用いたセルフチェックを行うよう促し、その後、SVからチェックリストの内容に基づきフィードバックを行うというものであった。6名のうちの3名から構成したグループ1においては「事前テスト→講義→中間テスト1→演習→中間テスト2→演習→事後テスト」という順序で、残りの3名から構成したグループ2に対しては「事前テスト→演習→中間テスト1→講義→中間テスト2→演習→事後テスト」という順序でテストと介入を実施した。 その結果、研修後にはアセスメントインタビューと立案した支援計画の両方に改善がみられた。さらに詳細に分析した結果、知識の向上には「講義」が影響を及ぼしており、「演習」が組み合わさるとインタビューと支援計画の内容に大きな改善があったことが明らかとなった。また、参加者全員が研修プログラムの内容に対して高く評価していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに遂行することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に検討したプログラムを実際の事例(教師と児童生徒)について適用し、学校場面における実際の行動変容に及ぼす効果を検討する。前年度の研究において講義と演習の組み合わせの効果が最も高いことが示唆されたので、その組み合わせの内容をそのまま研修プログラムの内容として用いる予定である。平成23年度はプログラムの各要素の効果を個別的に検討するための研究デザインを組んだので3日間を必要としたが、24年度は各要素ごとの分析は行わない予定なので期間は短縮する予定である。さらに講義部分はe-Learning等を活用して実施することも計画しているので、研修期間はさらに短縮される予定である。その後、研究補助者を活用して参加者が勤務する各校における直接観察を実施し、教師と児童生徒双方の変容と相互作用を分析する予定である。そのデータを基に参加者を集め「評価会議」を開き、行動支援計画の「評価と修正」についても研修内容として扱い、そのプロセスに関する参加者の変容も分析する予定である。 従属変数としては、平成23年度と同様に研修プログラム内における参加者のアセスメントインタビューの内容、立案した支援計画の内容、応用行動分析学や行動マネージメントに関する知識について分析する。平成24年度ではさらに、実際の学校場面における教師と児童生徒の行動変容についても事前と事後の変容過程について分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては研修参加者に対する謝金、データの収集・分析と教材作成の援助を行う研究補助者に対する謝金が必要である。また、研修プログラムを実施する際にプレゼンテーションスライドを提示するためのノートパソコンを購入する予定である。また、このノートパソコンは、研究補助者が画像や動画を用いた教材作成を行うためにも使用する予定である。さらに、平成23年度の成果と平成24年度の途中経過を報告するために日本特殊教育学会とAssociation for Behavior Analysis Internationalの年次大会に参加することも予定しており、そのための旅費も必要になる。
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