研究課題
本研究の目的は,聴覚障害学生に特化した自習用Eラーニングを設計することである。現状のEラーニングシステムは手話や字幕の表示領域は設定されておらず,聴覚障害に対する配慮がなされている物は無い。本研究では質問紙調査に加えてビデオ撮影・視線追跡などの行動観察,脳波計測や唾液中アミラーゼ計測などの生理計測の手法を用いて聴覚障害者のための自習用Eラーニングシステムのあり方を探ろうといている。 それに先立ち,聴覚障害学生が映像コンテンツを見る際に,健聴者にとっての音声情報に該当する情報をどのように受容しているかの実態を探るための基礎実験を行った。音声,字幕,口形,手話が含まれている手話ニュースの映像を用い,それを視聴している際の視線計測実験とアンケート調査を行った。被験者20名に対して4分間程度の手話ニュースを視聴させ,その際の視線と内容理解のために手がかりにしている情報の比率の主観評価,その他,日常の情報受容に関するアンケートを行った。現在は解析作業を行っているところである。 また情報収集活動として,月に1回,関係する研究会に参加し教育工学に関する情報交換を行った。
2: おおむね順調に進展している
2年間の計画で,初年度は聴覚障害学生の情報需要の基礎的データの収集と解析,最新の教育工学的知見の収集を目的としていた。解析作業については未達成であるが,全体計画の中でも長期間を要しない事項なので,概ね達成をしていると考える。
前年度の解析作業については5月中に完了予定である。6,7,8,9月中にプロトタイプの作成,10,11,12月中に被験者実験によるプロトタイプの評価とマッシュアップ,1,2月中に完成,3月中に関連学会での成果報告を計画している。
統計解析,視線解析用ソフトの購入,実験協力者に対する謝金,短期雇用者に対する謝金,情報収集のための関連勉強会・学会の参加費と旅費,成果発表のための旅費など。