研究概要 |
高次脳機能障害等の認知面の障害のある児童生徒・学生の学習上の困難について,その合理的配慮として必要となる支援技術利用に関する実践研究を実施した。特にテクノロジー利用により,読み書きの困難(e.g., 音声読み上げ,電子書籍,入力支援ツール等),タイムマネジメントの支援(e.g., 電子的なカレンダー,リマインダーの利用),思考や概念のまとめの支援(e.g., マインドマップ)に有効なツールの利用とそのまとめを行った。 また,これらの技術利用は,単に利用法を本人が学習するだけではなく,その利用を許容する学習環境が存在することが重要であり,そのために初等中等教育機関,高等教育機関等の機関側に,合理的配慮として技術利用を認める体制の整備が必要であることがわかった。そのため,欧米での先行事例との比較から,今後必要となると考えられる体制整備のあり方を提案した。 さらに,教育機関でのテクノロジーを利用した学習は,学習場面だけに留まらず,やがて就労場面でも同様に機器を利用して働くことへと関連し,また利用スキルも般化することが予測される。 そのため就労移行を想定して,本人に教育場面における自己のニーズや,合理的配慮としてのテクノロジー利用についての理解を深めること,そのニーズを他者に適切に説明することといったスキルや経験の必要性が明らかになった。
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