研究課題/領域番号 |
23730860
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
笹原 未来 福井大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (90572173)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 重度・重複障害 / 医療的ケア / 教育的対応 |
研究概要 |
本研究は,近年,特別支援教育において緊急の課題となっている医療的ケアへの教育的対応のあり方について,実践的に検討を行なうものである.本研究の目的は,日常的に医療的ケアを必要とする重度・重複障害児(者)を対象とした教育実践を行ない,医療的ケアへの教育的対応のあり方について,コミュニケーションの視点から実証的に明らかにすること,医療的ケア場面への教育的対応の意義について検討することの2点である.本年度は, 医療的ケアを要する重度・重複障害者1名への教育的対応を行なうとともに,教育的対応によって得られた映像資料を分析し,医療的ケア場面及び医療的ケア以外の教育的対応場面それぞれにおけるコミュニケーションの成立状況について分析,検討を行なった.加えて,申請者がこれまでに行なってきた教育的対応から得られた映像資料(約150本)についての分析も併せて行なった. 研究対象者への教育的対応においては,主に身体接触を介したやりとりを行なった.その際には,対象者の微細な身体の動きや表情の変化に常に注意を向けるとともに,対象者が行動を発現するための"間"を十分に保障し,対象者の微細な動きや変化を発信として捉えて働きかけを行なった.また,医療的ケア(痰の吸引)場面においては,対象者が実施される医療的ケアに対する注意を喚起し,構えを形成できるよう,対象者の状態に応じて,声がけ及び触覚的サインを行なった.分析においては,対象者に発現した行動(身体各部位の動き,視線の動き,表情の変化等)と働きかけの内容(働きかけた身体部位,働き掛けに用いた刺激の種類等)を映像資料から抽出し,時系列に沿って相互に関連付けながら記述することで,コミュニケーションの成立状況について検討を行なった. 現在も対象者への教育的対応及び映像資料に基づいた分析を継続中であり, 次年度以降, 適宜, 論文として発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育実践の対象者である重度・重複障害者1名の自宅を訪問し,教育的対応を継続的に実施している.しかし,対象者の体調(入院)や家庭の状況により,教育的対応の実施回数は当初の予定より少なくなった. 教育的対応によって得られた映像資料については,教育的対応終了後に分析を行なっている.現在は,医療的ケア場面と医療的ケア以外の教育的対応場面のコミュニケーションの成立状況について,それぞれ分析を進めているところである.また,申請者がこれまでに実施してきた教育的対応によって得られた映像資料(約150本)についても分析も進めており,現在のところ約40本について分析を終了している.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,教育実践の対象者である重度・重複障害者1名への教育的対応を継続するとともに,教育的対応によって得られた映像資料に基づいて,コミュニケーションの成立状況についての分析を進める.現在は,医療的ケア場面と医療的ケア以外の教育的対応場面のコミュニケーションの成立状況について,それぞれ分析を進めているところであるが,今後は,それぞれの場面におけるコミュニケーションの成立状況を相互に関連付けて整理,検討を行ない,医療的ケア場面におけるコミュニケーションの成立・促進に関与する条件について,詳細かつ包括的な検討を行なう.さらに,蓄積された映像資料(約150本)についての分析をさらに進め,長期的な教育的対応の展開過程及び対象者の変化についても検討を行なう予定である. 加えて,新たな研究フィールドの開拓と対象児(者)の確保にも引き続き務める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主に国内旅費,消耗品費として研究費を使用する予定である. 国内旅費については,教育実践及び資料収集の主な場である宮城県仙台市への交通費(年10回程度),情報収集及び研究成果発表の場である日本特殊教育学会(茨城県つくば市)他関連諸学会への参加旅費,医療的ケアに関する情報収集及び技術習得のための研修会等への参加旅費として使用する予定である.消耗品費としては,映像資料の記録用DVDを,1回の資料収集にあたり1~2本使用すると積算して購入する予定である.また,対象児(者)の状態や教育的対応の進捗状況に応じて,教育的対応に必要となる教材・教具を適宜作成あるいは購入する予定である.
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