研究課題/領域番号 |
23730861
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
内山 仁志 鳥取大学, 地域学部, 助教 (60348604)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 読み / 眼球運動 / 読字障害 / ディスレクシア / 習熟変化 |
研究概要 |
本研究課題は、視線解析装置を用いて文字を読んだり、視標を追視したりするときの眼球運動パターンを解析することで、音韻-言語機能と視機能の両面を評価できる眼球運動の有効な指標を探索し、健常児における読みの習熟度を定量的に評価することを目的として行っている。また最終的には読字障害児との比較を行い、読字障害(ディスレクシア)児の眼球運動特性と比較し、各種読字指導法の選択時に活用することで教育や医療に還元することを目標としている。 本年度はまず成人で予備実験を行った後、健常児での音韻-言語機能と眼球運動の特性を明らかにするために、「特異的発達障害診断治療のための実践ガイドライン」の単語、非単語、単文の音読課題を用いて、音読時の眼球運動を計測した。音韻-言語機能を評価する指標として、音読時の注視点数、平均注視時間、全注視時間について検討した。本年度は単語、非単語課題の実験の結果について報告する。実験の結果、単語、非単語課題音読時の注視点数、全注視時間は年齢とともに減少する傾向にあり、これらの指標は音読時間と有意に相関した。平均注視時間は年齢によらず一定の傾向を示していた。 これらの結果は、音読時間の短縮は音読中の注視点数の減少であり、平均注視時間に年齢による差がないことを考えると、単一注視時間に把握できる文字数が年齢とともに増加していることを示唆し、読みの質的変化の1つと考えられる。 平成24年度にはこれらの成果を学会にて発表予定である。また単文音読時のデータの解析を遂行中であり、こちらも成果をまとめて学会に発表し、単語、非単語の結果と合わせて論文化を進める。また実験に関しては、単一注視時の文字認知範囲や視機能の評価課題も準備が整っているので今後、実験を開始して新たなデータを蓄積し、評価および検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度健常児のデータを取得できた意味では当初の計画以上に進展している、といえるが、機器の性能の限界により、当初予定していた神経眼科学的評価が十分に行えていない。そのため、現機器での視標追跡時の眼球運動の測定に工夫が必要となった。そのため、達成度としてはおおむね順調に進展している、とした。次年度に神経眼科学的評価を実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
所属の変更に伴い、いくつかの解析ソフトなどを改めて準備する必要がある。また健常児の被験者は引き続き鳥取大にて募集した被験者への実施を予定している。そのため、夏期休暇中に鳥取大学へデータ取得のために10日間程度滞在して集中的にデータを取得予定である。基本的な実験の計画は変更せずに行えるよう準備を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
主要な支出の予定は夏期休暇中に行う予定の鳥取大学での実験にかかる諸費用となる。研究打ち合わせの旅費および機器運搬費をそれに充てる予定である。その他、関連書籍購入費を必要な刺激提示ソフト費などに変更予定である。
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