研究課題/領域番号 |
23730862
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉利 宗久 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60346111)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
インクルーシブ教育の理念に即した特別支援教育を実現するためには、教員養成段階における特別支援教育実践力の育成に資するシステムを確立し、その基盤となるカリキュラムの開発が求められると考える。そこで、初年度においては、通常教育教員に対する質問紙調査を実施し、通常学校における特別支援教育の実情と課題の一端を明らかにした。本年度(2年次)は、初年度における成果に基づき、インクルーシブ教育の推進条件と教員養成の実践的課題を究明することを目的とした。具体的には、インクルーシブ教育に先駆的に取り組んできたとされるアメリカ合衆国の試みを中心に、通常教育教員に対する特殊教育(special education)スキルの養成に関する国際的動向について検討した。全米においては、ほとんどの州が通常教育教員に対しても、州規模の厳密なスタンダードに基づいて一定の特殊教育に関する専門性を要求しており、明確な基準に準拠した養成システムが運用されていた。また、各大学レベルにおける実際の教員養成カリキュラムとして、州立ハワイ大学マノア校(UHM)における同時履修プログラム(Dual preparation program)に注目し、その履修条件や学修内容について報告した。UHMにおいても、1990年代から通常教育と特殊教育の専門性を担保する教員養成プログラムを構築しており、大学と地域の学校現場との密接な連携・実習に基づく実地教育重視型の教員養成プログラムが運用されていた。その仕組みについてはすでに学術論文として公表したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの研究を通して、我が国における問題の背景と海外の動向の一部を把握することができた。3年次には、研究のまとめを進めると同時に、これまでの研究成果を随時報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
第二年次までの調査研究を分析し、日米の共通性・差異性にも配慮しながら、我が国におけるインクルーシブ教育の推進条件と課題を教員養成の視点から整理する。とくに、海外の研究者との継続的な情報交換を行い、幅広く研究成果を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の研究者との研究活動を重視し、共同での学会発表、論文の公表に有効活用したい。
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