本研究では、1990年代初頭に日本政府からの派遣教員を先駆的に障害児教育担当に配置したニューヨーク日本人学校とシンガポール日本人学校に着目し、日本人学校における障害児教育の実施条件を明らかにすることを目的とした。その結果、実施を促す要因として、両校で異なる要因(受入国における障害のある子どもの教育を受ける権利保障の有無)と、共通する要因(①憲法第26条の精神に沿った教員派遣制度の運用、②障害のある子どもの教育機会確保の問題について認識されやすい状況、③受入国の負担軽減のために日本人学校での障害児教育を求める動き、④障害児教育経験のある教員による障害児教育実践の蓄積)が明らかにされた。
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