研究課題
もともとの計画に立ち返り,放物型誘導表現のJacquet加群の構造をモーメントグラフを用いて記述することを目標として研究を行った.モーメントグラフは変形された対象を記述するのに都合のよい道具であったが,それを変形されていない対象でも記述できるように理論を拡張し,それによって放物型誘導表現のJacquet加群を記述するのが目的であった.しかし,そのような計算を行うには,まずは変形された放物型誘導表現のJacquet加群を従来のモーメントグラフの理論を用いて記述する必要がある.このために,放物型誘導表現の変形を定義し,いくつかの基本的な性質を調べた.特に,変形された放物型誘導表現に対してもJacquet加群が定義され,それがもともとの放物型誘導表現のJacquet加群の変形と呼べる対象であることがわかった.また,変形されていない放物型誘導表現のJacquet加群の場合と同様に,変形された放物型誘導表現のJacquet加群に対しても,旗多様体のBruhat分解から来るフィルトレーションを定義することができる.この隣接商がねじれたVerma加群というものになるというのが本研究の出発点でもある.フィルトレーションの定義から隣接商はBruhat cell上の超関数の空間に埋め込まれる.この像を求め,変形されていない放物型誘導表現のJacquet加群と同様の形となることがわかった.その形からこの隣接商は,変形されていない放物型誘導表現のJacquet加群の場合と同様に,変形されたねじれたVerma加群となることが予想されるが,証明を完結させることはできなかった.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 5件)
Compositio Mathematica
巻: Volume 149, Issue 12 ページ: 2139-2168