研究課題/領域番号 |
23740014
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 周 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40456760)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | affine Hecke algebra / 局所Langlands対応 / 一般Springer対応 / 例外列 / exotic冪零錐 |
研究概要 |
今年度は数年間の懸案であったexotic Springer fiberのtotal homologyの構造を決定した。また、exoticとは限らないSpringer fiberに対してそのKostka関数を決定するアルゴリズムであるLusztig-庄司アルゴリズムを環論的に再解釈し、その事によって新しい特徴づけを得た。この新しい特徴づけはaffine Hecke環の表現論とは非常に相性が良く、今後さらなる発展が期待されている。exotic Springer fiberのtotal homologyの構造を決定する事は報告者がexotic Deligne-Langlands対応を導入して以来の懸案であった。exotic Deligne-Langlands対応は集合論的に見るとaffine Hecke環(もしくは対応する$p$-進代数群の認容表現の圏のBernstein block)の単純加群をラベルづけるという事であり、他のラベル付けも存在するような特に重要なパラメタのもとではラベルが通常のものと異なる(簡単になっている)だけであるという見方がありうる。しかし、実際には分類は加群論的にラベルから標準加群と呼ばれるaffine Hecke環の加群を構成し、その標準商として単純加群を実現する事になっている。今年度の2つの結果の主張する所をこの文脈で述べると、1) exotic Deligne-Langlands対応における単純加群は(パラメタが1の冪根でなければ)標準加群の唯一の既約商であり、2) 標準加群同士はaffine Hecke環の加群圏の中で拡大が消え、導来圏の研究でいう所の例外列を(ほぼ)なしているという事が従う。また、これらの性質はexotic Deligne-Langlands対応の標準加群を特徴づける他、さまざまな応用がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、長らくの懸案であったexotic Springer fiberのtotal homologyの構造を決定できた事は研究計画上幸先の良いスタートであったと考える。また、この問題を考えた際に一般Springer対応の新しい特徴づけが得られ、この事はaffine Hecke環や有限Chevalley群等の研究に大きな進展をもたらすものと期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画を実行するのに十分な理論的枠組みが得られたように思われるので、今後は当初の研究方向に加えて昨年度得た理論的枠組みがどのようなものであるかを考察する事も加えたい。つまり、当初の研究計画ではいくつかの代数系に対してその表現論的な結果を追い求めるものであったが、今後はそれに加えてより幾何的な状況からどのような表現論的制約が導かれるかなども調べたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
9月にworkshopを開いて内外の関連する研究者と交流をはかる。またわれわれの研究を深める為にコンピュータ等を購入し理論を支える計算を実行する事を企画している。また、必要があれば本人が出張して関連する研究者と議論を行う。
|