研究課題/領域番号 |
23740014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 周 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40456760)
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キーワード | affine Hecke algebra / 局所Langlands対応 / 一般Springer対応 / 例外列 / quasi-hereditary代数 / exotic 冪零錐 / KLR代数 |
研究概要 |
今年度は前年度に得られたexotic Springer fiberのホモロジー群の記述の設定を抽象化してLusztigによるいわゆる一般Springer fiberが最高次の項で生成されていることを証明した。また、それにより[Ciubotaru-Kato-Kato, Invent. Math. 2012]によって実質的に得られていた一般Springer fiberのホモロジー群の次数を忘れたときの遷移公式を次数つきの場合に精密化することができた。 これは一般Springer fiberのホモロジー群の古典的な記述であるLusztig-Shojiアルゴリズムをとは本質的に異なる別の記述法が存在することを意味する。また、その証明から先年度得られたLusztig-Shojiアルゴリズムの環論的再解釈が本質的に次数付きHecke環の退化(=affine Weyl群の群環の次数付退化)に関するBrauer-Humphreys相互律に他ならないことを導かれた。 このことはaffine Hecke環よりもずっと広い枠組みにおいて代数の幾何学的実現の存在がその代数に関して古典的なquasi-hereditary代数の一般論の自然な一般化とみなすことができる諸性質を導くことを示唆し、今後さらなる発展が期待されている。 特にこのような状況が成立するaffine Hecke環やKhovanov-Lauda-Rouquier代数などの具体例においては古典的な場合とは異なり非常に多くの本質的に異なるquasi-hereditary代数の一般論の自然な一般化の構造が入るので、そのことを内在的に理解することは(新しい)自然な目標である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度までの研究によってaffine Hecke環の加群圏がパラメータの変化によってどのように変わるかということが(パラメタが1の冪根でない場合)加群のレベルでは基本的に分かってしまった。 また、当初の計画の枠組みよりもずっと大きな枠組みにおいて本研究と類似の状況が存在しうることも示したため、(何をどう示すべきかという問題はさておき)本研究の本質的な適用可能領域が大幅に増加したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はもともとの研究計画で中心だったaffine Hecke環だけではなくKhovanov-Lauda-Rouquier代数なども取り扱う。 また、affine Hecke環の記述と有限Hecke環のcellの記述を関連ずける可能性こついても考えたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文をまとめるためのデスクトップパソコンの購入、および研究発表/研究交流のための旅費に主に使いたい。
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