研究概要 |
本課題ではイデアリスティック フィルトレーション プログラム(以下IFP)に沿って任意標数の代数閉体上の特異点解消について研究を進める. 平成23年度は申請時の予定通り整閉包を用いるアルゴリズムと微分閉包のみを用いるアルゴリズム双方について考察した. 前者に関しては未だ捗々しい進展は得られていないが, 後者に関してはIFPの枠内で曲面の埋め込み特異点解消の簡易な別証明を与え, 一定の進展を得た. また技術的困難の一つであった同伴改変の代数化を確立した. 以下にその内容を詳述する. 本研究者は本年度共同研究者の松木教授と共にスペインのビラマイヨール教授を訪問し, 彼らの曲面の埋め込み特異点解消の別証明について学んだ. 彼らのアプローチは一般射影を用いておりIFPとは異なるが, アルゴリズムの最終形の一つである単項型の場合に用いられた手法はIFPの下でも機能することが分かった. その後松木教授が数理研に滞在し, 我々はこの手法をIFPの枠組みの下で簡易化する作業を進めた. その結果, より内在的で簡潔な不変量の定義を与え, 比較的見通しの良い別証を与えることに成功した. 主結果自体は既知であるが, IFPの枠組みにおいて別証明を与え未解決である三次元の場合へ可能性を拓く意味で有意義な結果と考えている. 特異点解消のアルゴリズムに現れる同伴改変という変形については完備化レベルでの定義は確立していたが, それを代数化する問題も技術的な懸案の一つであった. 本年度は, かねてより森教授の示唆にあったヘンゼル降下の手法を用いてこの同変改変の代数化を確立した. これは不変量を用いて爆発の中心を定める際に不可欠な性質であり, 技術的ではあるが重要な進展と言える. 以上の結果は松木謙二氏との共著論文にまとめ現在投稿中である. 以上が平成23年度の研究実績の概要である.
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