研究実績の概要 |
本年度は頂点作用素代数の置換オービフォールド模型の研究に関し最終年度ということで, 前年度に引き続き「任意の自然数 n に関しC2-有限な頂点作用素代数の置換オービフォールド模型が再び C2-有限である」ということの証明に取り組んだ. 本研究内容については, 8月に中国の四川大学に滞在中の Chongying Dong 氏(カリフォルニア大学サンタクルーズ校教授)を訪ね, セミナーや研究連絡を行った. 残念ながら大きな進展はなく, 完全解決には至らなかったが, 今後につながる別方向への考察や研究課題が得られた. その研究課題については平成27年度開始の科学研究費課題として採択された. 平行して具体的な模型の問題である A 型アフィン頂点作用素代数の置換オービオフォールド模型に現れるコミュタント(交換団)と呼ばれる頂点作用素代数の研究を行った. こちらは一橋大学の山田裕理教授と研究連絡及び打ち合わせを数度行い, 前年度に引き続き大きな進展があった. 具体的には前年度はコミュタントの新しい実現を発見し公表したが, 今年度はその実現を更に一般的な枠組みで考察し, その既約加群の分類を完成した. その結果, 対象としているコミュタントの既約加群の分類も完了できた. こちらに関しても更にフュージョン則を決定することでモンスター群の研究に応用できると考えられるので, 今後につながる研究成果を残すことができた. 本研究内容に関しては前年度の成果と合わせて現在論文に研究成果をまとめている. また論文発表に先行して9月に広島大学で行われた日本数学会秋期総合分科会及び12月に京都大学数理解析研究所で行われた研究集会「有限群とその表現, 頂点作用素代数, 代数的組合せ論の研究」において研究発表を行った.
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