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2013 年度 実施状況報告書

代数的ベクトル束のモジュライの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23740026
研究機関熊本大学

研究代表者

阿部 健  熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90362409)

キーワードベクトル束 / モジュライ
研究概要

昨年度に引き続き代数的ベクトル束のモジュライ空間上の直線束の大域切断に関する双対性である「strange duality」の研究を行った.昨年までは,もっぱら射影平面上のベクトル束のモジュライ空間について調べていたが,今年度は,K3曲面上のベクトル束のモジュライ空間に対するstrange dualityを考察した.得られた結果について述べる.XをK3曲面でピカール群が豊富因子Hで生成されるようなものとする.X上の安定1次元層Gでオイラー標数が0で,第一チャーン類がHであるようなもののモジュライ空間をNとする.また,X上の階数2の安定層で第一チャーン類が0で,第二チャーン類がnであるようなもののモジュライ空間をMとする.このとき,二つのモジュライ空間M,Nに対してstragne duality mapを考えるとき,nが十分大きければmapは全射になる,というのが,主結果である.K3曲面の場合は,nが奇数の場合には,strange duality mapは同次元のベクトル空間の間の射であることが知られているので,この結果により,nが十分大きい奇数の場合にはstrange dualityが成り立つことがわかる.K3曲面に対してはMarian-Opreaも別の場合にstrange dualityを示している.彼らの証明の鍵は,Fourier-Mukai変換により,議論を階数1の場合に帰着することである.一方,今回私の得た結果の証明は,階数を落とさずに議論しているところが特徴的である.この議論はあまりK3曲面の特殊性を使っていないという点で(もちろん少しは使う),他の曲面上にも応用できる可能性があり重要である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

K3曲面に対する(ある場合の)strange dualityを得られたが,射影平面に対するstrange dualityに対しては次元の計算も得られていないため.

今後の研究の推進方策

今後は再び射影平面上のstrange dualityを考察する.Bertramらが射影平面上のベクトル束のモジュライの双有理モデルをBridgeland安定な複体のモジュライとして構成しているが,これがstrange dualityに応用できないかどうかも調べたい.

次年度の研究費の使用計画

研究が遅れているため,代数についての専門知識習得のための書籍購入を来年度に見送った.
次年度は,複体のモジュライを使うに当たり,代数の知識が必要になるため,昨年度に見送った,代数に関する書籍を購入して専門的技巧を修得する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] An example of strange duality for K3 surfaces2013

    • 著者名/発表者名
      阿部 健
    • 学会等名
      代数幾何学と可積分系におけるモジュライ理論
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      20130918-20130918

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公開日: 2015-05-28  

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