研究概要 |
GSp_4 の法pガロア表現の保型性問題をより精密に調べるために、所謂、セールのイプシロン予想の重さの部分を調べることを行った。GSp_4の有限体係数に値を持つ有理数体の絶対ガロア群のセール重さとはGSp_4(F_p)の既約表現のことを指す。この定義に基づいて重さ予想が、Toby Gee とGeraghty により多くの場合に解決されている。しかし、ガロア表現の惰性群の情報から重さを読み取るには、彼らの定式化では不十分であり、GL(2)の場合のようにテータ作用素を用いた重さの変動を調べる必要がある。 申請者は先ず、GL(2)のテータ作用素に当たるものを定義し、これを用いて、重さを予想を定式化し直し、解決した。GL(2)の場合とは異なり、重さ作用素は3つある。 定式化した予想を解決するためには4次元のクリスタリン表現の法p還元の記述が必要不可欠であり、この計算には大阪大学の安田正大氏に協力を仰いだ。 続いて、GSp_4のセール予想をより精密にすべく、GSp_4のArtin 予想を定式化することを試みた。これはトロント大学のヘンリーキム教授との共同研究である。結果として、次数2、重さ(2,1)のヘッケ固有ジーゲル尖点形式Fがほとんどすべての不分岐素点でHecke 多項式が適当な代数体の整数環上で定義されていれば,Fに対してGSp_4(C)に値をもつArtin 表現を構成することができた。その応用として, Laplacian の固有値が1/4であるMaass wave form の固有値の代数性を証明した。さらに、固有値が代数的整数であると仮定すると、Artin 表現を付随させることがヘンリーキム氏との共同研究で得られた成果を使うと証明できることに気付いた。さらに、GSp_4のArtin 予想がG_Qの2次元のeven Artin 予想を導くことも示された。
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