研究課題/領域番号 |
23740033
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安福 悠 日本大学, 理工学部, 助教 (00585044)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 数論的力学系 / ボエタ予想 / 整数点と有理点 / 単項式写像 / 国際研究者交流 / アメリカ:フランス |
研究概要 |
23年度は,「研究の目的」,「研究実施計画」の通り,ボエタ予想の力学系への応用について考察した.具体的には,1次元においてシルバーマンにより証明された,軌道の整数点の有限性及び軌道の座標の大きさの比較の結果を,高次元化した.数論的力学系はいまだに主に1次元での結果が多く,高次元について研究するのは重要な新しい方向性である.高次元の場合,代数幾何やディオファントス近似からの道具がより高度になり難解だが,ボエタ予想を仮定することによって,高次元におけるシルバーマンの結果の類似を部分的に得られた.また,予想を仮定せずにSchmidtの部分空間定理を代わりに使うことで,同様の結果を得られる写像を多数構築した.これらの結果について研究発表を行い,京都大学数理解析研究所講究録別冊に第一稿を出版した.さらに,特別な射に関しては,より精密な結果を得ることもできた.具体的には,2次元の単項式写像に関し,ガロア理論と線形代数を使って,軌道の整数点が有限個しかないような射を完全分類した.これはGregor氏との共著論文としてJournal of Number Theoryに出版した. ボエタ予想そのものを解決するプロジェクトに関しては,射影平面の任意のブローアップ・ブローダウン上(つまり有理平面上)の整数点についてこの予想を解決した結果をTransactions of the American Mathematical Societyに出版した.特殊な有理平面に関しては,有理点全体で証明することができ,別の特殊な有理平面上のボエタ予想からは,整数論のなかでも最も有名かつ影響力の高い予想のひとつであるabc予想の特別ケースを導くことが出来た.これらの結果をMonatshefte fur Mathematikに出版した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元でのシルバーマンの結果の類似を部分的に得られ,力学系及びボエタ予想に関する論文を出版出来たので,順調である.まだ条件付きの定理ではあるので,24年度への継続研究となる.楕円曲線の積のブローアップ上やK3曲面上でのボエタ予想については24年度から取り組んでいく.
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進んでいるので,当初の研究実施計画の通り,補次元3以上の部分多様体でブローアップしたときのボエタ予想について取り組む.これは3つの数の最大公約数に関しての不等式となり,整数論として面白い結果につながるはずである.力学系に関しては,より完全に近いシルバーマンの結果の類似を高次元で得られるよう,研究していく.特に,代数幾何の分析がしやすい2次元に特化して,考察していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度同様,研究者の招聘,及び申請者の出張により,専門家との研究討議を深めることで,新しいアイディア・発想に触れ,研究を進展させていく.カリフォルニア大学バークレー校における力学系の学会では講演予定であり,またニューヨーク市立大学での数論幾何の学会に参加予定である.1月に日本大学で開かれるディオファントス近似の学会にローチェスター大学のThomas Tucker氏を招へいする計画をたてており,力学系及びボエタ予想に関して見識を深める予定である.
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