今後の研究の推進方策 |
アーベル商と非アーベル商のOrbifold Cohomologyの比較についての論文を早い時期に執筆を終わらせ、夏ごろには共同研究者であるBumsig Kim氏と最終打合せを行い、再度の校正をし学術雑誌へ投稿したい。 それが終わり次第、Quantum Cohomologyの情報を含む母関数であるJ-関数についての比較へと移って行きたい。この場合は一般の非特異代数多様体Xについていきなり比較するのは難しいと思われるため先ずはX=n次元の複素affine空間, G=U(k)の場合を考える予定である。この場合、アーベル商は射影空間の積であり、非アーベル商はグラスマン多様体になり、特にこの問題はHori-Vafa予想とよばれている。しかし、この場合は既にAaron Bertram, Ionut Ciocan-Fontanine, Bumsig Kimによりそれぞれの空間のJ-関数を別個に計算し、その差がHori-Vafaの予想したものであることが示された。だが、全く理論的な理由付けが分からないままである。 そこで当面はn,kが小さい場合について理論的に証明を与えることを目指す。具体的にはJ-関数はトーラスの固定部分多様体の法ベクトル束によって定まるものであるので非アーベル商とアーベル商のそれぞれにあらわれるトーラスの固定部分多様体の法ベクトル束がどの様に対応するのかを調べる予定である。 また、次年度使用額が219,952円ある理由は1月に交通事故に遭い、通院が必要であったため参加予定であった研究集会への参加をとりやめたために発生した。
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