研究課題/領域番号 |
23740045
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
佐治 健太郎 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70451432)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 特異点 / 波面 / 認識問題 / 曲率 / 平行曲面 / ミンコフスキ空間 / ジェネリック微分幾何学 / ルジャンドル特異点論 |
研究概要 |
特異点の判定法の研究について、4次元の余階数が2の特異点の判定法を得た。これにより、同次元間の微分可能写像で安定なものに現れるすべての特異点に対して判定法が得られたことになった。これは申請書にあるとおり、特異点の性質をさらに深く研究するために重要な成果であり、今後特異点の様々な性質を明らかにする研究が行える。余階数が2の特異点についてはこれまでの研究で扱えなかった対象であり、重要な成果であると思われる。また、特異点がない場合に知られていたケンデリンクの定理を波面の場合に特異曲率とガウス曲率測度を用いて拡張した。 判定法の応用について、高次元波面に対して、梅原雅顕氏(東工大)・山田光太郎氏(東工大)と共同で、ベクトル束の束準同型でモラン型の特異点のみを許すものに対して特異点集合のオイラー数に関する式を得た。これは、波面や同次元間のモラン写像などを含んでおり、今後、多くの応用が考えられる成果である。また、ミンコフスキ空間内の擬球面内の波面の双対性に関連して、各擬球面内での平坦な曲面の双対性と特異点に関して研究を行い、これまで得られていた双対性が同様に成り立つことを示した。また西村尚史氏(横浜国大)と共同で、波面の特異点で、安定なものと区間との直積を退化した方向の切り口を調べ、ヤコビ行列式の情報からこれらの特異点がどれだけ決定できるかについて研究を行った。さらに、小円の族からなる写像の研究を行い、球面曲線の微分幾何学的情報と特異点の関係を明らかにした。また、ユークリッド距離をトロピカル化したものについて調べ、様々な曲線の、通常のものとの違いを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同次元間の安定写像で4次元以下にジェネリックに現れる特異点の判定法をすべて与えた。これは目標としていた結果である。さらに、波面の特異点の研究に関して、オイラー数に関する大域的な関係式を得た。これも目標としていた結果である。さらに、ミンコフスキ空間内の擬球面内の波面の双対性については、双対性を使って平坦性を定義し、それらの曲面と特異点の双対性について多くのことがわかった。これは目標としていたことを大幅に越えている。さらにルジャンドル・モンド型と呼ばれる特異点やトロピカル二次曲線についていろいろなことがわかった。これは目標としていたことより進んでいる。したがって研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後もよく現れる特異点を中心に特異点の判定法を作っていく。同時に、判定法の中で明らかになってきた、ヤコビ行列式と微分の退化方向がかなり特異点の情報を持っていることに対して、その意味を明らかにしていく。応用に関しても、特異点の曲率と大域的な不変量との関係に対して調べていく。ルジャンドル・モンド型特異点に関しては当初の研究計画ではさほど重視していなかったが、非常に興味深い対象であることがわかってきた。したがって、今後はこれも詳しく調ていく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ブラジルで特異点論に関する研究集会が行われるので、成果発表と情報収集のための渡航費用に使う。また、国内で行われる研究集会のうち、特異点論に関係するものには積極的に参加し、成果発表と情報収集を行う。これらの旅費に使う。また、泉屋周一氏(北大)や梅原雅顕氏・山田光太郎氏(東工大)と研究打ち合わせを行う必要がある。これらの旅費にも使う。特異点論関連図書、幾何学関連図書、代数学関連図書の購入も必要であり、これらの購入費にも使う。また、特異点の可視化や、論文作成のために計算機周辺の消耗品も必要であり、これらの購入費にも使う。
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