研究課題/領域番号 |
23740047
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
松添 博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90315177)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 統計多様体 / 捩れを許す統計多様体 / アファイン微分幾何学 / アファイン分布 / 情報幾何学 / プレコントラスト関数 / Tsallis統計 / 非可積分推定関数 |
研究概要 |
統計多様体の幾何学について,可積分系,非可積分系の両面から構造解明を行うことが本研究の目的である. 近年の複雑系科学に頻出するべき型分布族の幾何学を理解するためには,統計多様体の一般化した共形構造や,可積分系理論が必要である.また,データからは直接観測されない隠れ変数が存在する推定理論には,捩れを持つアファイン接続など,非可積分系の理論が必要であると考えられる.そこで本研究では,これら統計モデルの幾何学を具体例として,統計多様体の幾何学の解明を目指す.さらに可積分幾何学と非可積分幾何学の双方を同時に扱うことにより,それぞれの幾何学の特殊性なども議論する. 上記の研究目標達成のために平成23年度は,可積分系幾何学については共形的な統計多様体の具体例の構成,およびその性質の解明などを行った.情報幾何学で議論される指数型分布族の統計多様体構造には,双対的に平坦なアファイン接続から定まる双対平坦構造と,標本空間の確率測度の変換に不変な不変統計多様体の構造が知られている.特にq-正規分布族の場合を中心に,それら双対平坦構造と不変統計多様体の構造を考え,統計多様体の一般化した共形構造との関連を調べた.また,情報幾何学で有用な役割を果たすコントラスト関数(ダイバージェンス)を具体的に構成し,統計多様体の一般化した共形構造との関連を調べた. 非可積分系幾何学についは,捩れを許す統計多様体,および疑似統計多様体などについて,その基本的性質を検討した.また,これらの非可積分統計多様体を誘導するプレ・コントラスト関数の幾何学を考え,その結果高次の微分から誘導されるテンソル場の性質を解明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究目標は可積分系統計多様体,および非可積分統計多様体の具体例を構成や,それらの基礎的性質を解明することであった.q-正規分布族の幾何学を中心として,非指数型分布族に定まる統計多様体構造の基礎的性質を調べた.また,q-正規分布族上のコントラスト関数を具体的に構成し,そこから誘導される共形構造の性質なども調べた.プレ・コントラスト関数の幾何学についても研究結果が得られた. これらの研究成果の一部は論文として投稿済みである.また,統計物理学と情報幾何学に関連した国際会議において招待講演を行い,それらの最新の結果の一部について報告も行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は主に可積分系の統計多様体の幾何学を考える.Tsallis統計学における様々な変換式や指数は,統計多様体の一般化した共形構造に起因する可積分構造が関係していると予想している.これらの問題の解明を目指す.また一般化変形指数型分布など,理論や応用の両面から非指数型統計モデルの研究が発展している.最新の国際会議などで先端の研究者らと情報交換を行い,非数型統計モデルの新しい幾何学の構成と応用も目指す.なお平成24年度は,研究開始当初に予定のなかった国際会議が開催されることになった.国際会議において情報収集を行うことは本研究推進に有用であるので,平成23年度に使用予定であった研究費の一部を平成24年度研究費と共に旅費とすることにした. 平成25年度は主に非可積分系の統計多様体の幾何学を考える.初めにアファイン分布の幾何学の一般理論と,捩れを許す疑似統計多様体の可積分条件を考える.その考察をもとに,統計多様体の不可積分性などを表す特徴量などについて考える.また,非可積分幾何学の推定関数の理論などへの応用も考える. 平成26年度は研究の仕上げとして,可積分系と不可積分系の統計多様体の幾何学の関連を考える.可積分系の幾何学と不可積分系の幾何学は全く独立ではなく,アファイン微分幾何学を通して互い関係している.平成25年度までに得られた結果をもとに,統計多様体の幾何学を発展させる. 研究内容の細部については,本研究の進展状況や関連分野の発展状況も考慮し,適宜見直しを行いながら研究を推進する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に研究申請当初に計画されていなかった国際会議が開催されることになった.また,新しい研究打ち合わせの必要性なども生じた.これらの国際会議等に参加し情報収集,研究打ち合わせを行うことは,本研究の推進には大変有用である.そのために,外国旅費を中心に研究費を執行する予定である. 複雑系科学と関連した可積分系統計多様体の幾何学は,その必要性が急速に増加していると考えている.このような状況の中で,国際会議等に出席し最新の関連研究成果について情報収集を行うことは,研究遂行上必要である.次々年度以降も旅費を中心に予算を執行予定である.また,情報収集のために書籍等も購入予定である.さらに研究の進展に応じて研究成果を公表する必要もあるため,論文別刷り費や印刷費等にも研究費を使用予定である.
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