研究課題
統計多様体の幾何学について,可積分系,非可積分系の両面から構造解明を行うことが本研究の目的である.可積分系の統計多様体の幾何学は,統計多様体の一般化した共形構造などと関連があるが,これらの構造はべき型の確率分布族の幾何学に自然に現れる.そこで平成26年度は,べき型確率分布族について,特に標本空間の数学的構造についても検討した.確率変数の擬加法性や独立性の一般化などを考察したのち,幾何学の視点から新しい確率変数の期待値を導入した.これは,エスコート期待値と呼ばれるものをさらに一般化したものである.また,れまでべき型の確率分布族については,主に q-指数型分布族,または非常に一般化されたχ-指数型分布族に関する研究がなされていたが,平成26年度はκ-指数型分布族の数学的構造についても考察を行った.この研究成果については統計物理分野の国際会議での招待講演をはじめ,多くの研究発表を行った.研究期間全体を通して,統計モデルのなす統計多様体について,特に推定関数の幾何学の視点から可積分系,非可積分系の理論を統一的に議論することができた.可積分系統計多様体の幾何学については,変形指数型分布族が異なる2種類の双対平坦構造を持つことを示した.さらに変形代数を用いて推定量の一般化やその幾何学的特徴付け,確率変数の独立性や期待値の修正などを行い,統計多様体の一般化した共形構造との関連などを考察した.以上のように多くの結果を得ることができた.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 7件)
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