研究課題/領域番号 |
23740062
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伊藤 昇 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10580160)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(デンマーク) / 国際研究者交流(アメリカ) |
研究概要 |
6月に京都大学数理解析研究所で講演し、自身の結果を発表し、意見交換を行った。7月から8月にかけてデンマークのオーフス大学において、ムロウカ教授(MIT)の集中講義に参加し、研究課題に関する最新情報を得た。ムロウカ教授はホバノフホモロジーに関して最近重要な結果(与えられた結び目がほどけているかどうかの判定問題に関するもの)を出している。デンマークから帰国した8月上旬にはトポロジーシンポジウムで招待講演を行い、広く自身の結果を公表し、参加者と議論した。8月下旬には、谷山公規教授(早稲田大学)と研究集会「結び目の量子不変量とそのカテゴリー化」を早稲田大学において共同開催し、研究課題の基本事項を確認するとともに、最新結果に関して情報収集並びに議論を行い,既存の結果を整理した。その際、招待講演者に対する旅費や謝金の支出を行った。9月中旬には静岡において代数や幾何などの数学の他、数理物理あるいは物理の研究者と交流し、本研究課題に関する、物理的なアプローチを学んだり、土屋教授(IPMU)からセミナー指導を受けるという、貴重な機会を得た。その後、10月には東北大で講演し、国内の研究者と意見交換した。11月にはトゥラエフ教授(インディアナ大学)を訪問し、自身のこれまでの成果をセミナーで話し、意見交換を行った。年明けの2月から3月には、当研究課題の分野で著名なビロ教授、当研究課題の中心であるホバノフホモロジーを創出した、コロンビア大学のホバノフ氏、ならびにカリフォルニア大学サンタバーバラ校のミレー教授を訪問した。これらの大学ではこれまでの自身の結果を紹介し、研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は当研究課題に関して、世界の進行状況がどれほどであるか、その最新情報を把握することができた。その意味では大きな進展があった。また、当研究課題の目標達成のために当初考えていたアプローチを行うために自身の結果をよりよく再構成することもできた。一方で、思いがけない状況を克服する必要性を感じた。まず、日本は当研究課題に深く関係する結び目研究が活発であるにも関わらず、最新情報は思ったより入って来なかった。また、アメリカのビロ、ホバノフ、トゥラエフ等、当分野では世界をリードしていると思われる研究者との議論を通して確認したことは、研究課題の目標達成に向けた有用な議論のためには、報告者自身の研究をもっとわかりやすく世界に示していかなくてはいけないということ、および、研究課題の解決は予想以上に難しいと考えられているということである。報告者はよりよいアイディアをもってこの研究課題の解決に寄与し、その成果を世界に向けてわかりやすく公表しなくてはならない。申請者が自身のアプローチを試すところまでが23年度の計画であり、そこまでは進んだのであるが、どこが難しいかを見つける、すなわち問題点の洗い出しまでを完結しきれていない。以上の状況は当初の予定通りであり、「おおむね順調に進展している」と判断するのが妥当と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記の状況のもと、当研究課題の困難さの把握を既存の文献や当研究課題に興味を持つ研究グループとの議論を世界レベルで行う。その上で研究計画にある自身のアプローチを考え、解決に向けて取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
次のことに注意して研究を行う。(a)文献を使ったり、議論する研究者を世界レベルで探して研究者目標の困難さの特定を急ぐ。(b)他の研究者の研究発表の聴講、または他の研究者との議論により最新の情報を得る。(c)自身の研究成果を公表し、参加者と議論をする。特に世界でより研究課題の進展している研究者、研究グループ、研究機関を訪問し、結果の発展を試みる。必要であれば研究会でなくともこちらから直接コンタクトをとり、会いにいく。
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