研究課題/領域番号 |
23740073
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
矢野 裕子 京都産業大学, 理学部, 准教授 (10337462)
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キーワード | 確率論 / 確率過程論 / マルコフ過程 / 拡散過程 / 加法過程 / 極限定理 / 一般化逆正弦法則 / 処罰問題 |
研究概要 |
1.梶野直孝氏,熊谷隆氏,Mateusz Kwasnicki氏,渡辺信三氏との共同研究において,フラクタル上の拡散過程の片側滞在時間分布について考察し,一昨年度までに分布関数及び密度関数の端点における漸近挙動に関する結果を得ている.昨年度から引き続いて共著論文を修正中であり,修正を完了次第雑誌に投稿する予定である. 2.マルチレイ上の拡散過程の滞在時間同時分布に関する研究で,昨年度までにウィリアムズ公式及び二重ラプラス変換公式の一般化を得,また原点局所時間及び逆過程の密度関数を用いた滞在時間同時分布密度関数の表現公式を得た.更に,一般化二重ラプラス変換を応用することによってある時間スケーリング分布収束が成り立つための十分条件を得た.以上を纏めた論文を投稿した. 3.加法過程の最大値に関する処罰問題における普遍的なシグマ有限測度の構成に関する論文が,Annales de l'Institut Henri Poincareに掲載された. 4.矢野孝次氏との共同研究において,拡散過程の周遊の規格化及び修正零レゾルベントについて考察した.現在も継続して共同研究を行っている. 5.拡散過程及び加法過程に関して,様々な方向から情報収集を行った.特に,ベッセル過程の到達時刻について濱名裕治氏と,ベッセル過程に近い拡散過程について笠原勇二氏と,アルファ-CIRモデルのスペクトルギャップに関する話題について半田賢司氏と,それぞれ研究相談を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルコフ過程,特に拡散過程及び加法過程に関する情報収集を行い,処罰問題などの未解決問題に取り組んでいる.また,論文執筆には至っていないものの,周遊の規格化及び修正零レゾルベントに関する共同研究を進めているなど,研究は概ね順調に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
1.周遊の規格化及び修正零レゾルベントに関する研究の推進. 2.拡散過程及び加法過程の滞在時間に関する処罰問題の考察. 3.測度集中現象への,拡散過程の滞在時間に関する極限定理からのアプローチ.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の繰り越しは,関連研究集会の多くが京都市内で開催されたために旅費使用が少額となったため,また予定していた外国出張(チュニジア)を現地の治安情勢不安を理由に中止したためである. 繰り越した研究費は,次年度の物品購入(主として書籍)または出張旅費として使用する予定である.
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