研究課題/領域番号 |
23740080
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 浩一 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30380687)
|
キーワード | モデルリスク / 数理ファイナンス / 金融工学 / リスク管理 / リスク測度 / デリバティブ |
研究概要 |
本年度はデリバティブリスクヘッジ問題の研究に重点的に取り組んだ. 1.低流動性金融資産のデリバティブ完全ヘッジ問題: 現在までに行なってきた低流動性金融資産のデリバティブに関するヘッジ問題の研究成果を整理し,論文として国際学術誌で発表した.("Option Replication in Discrete Time with Illiquidity, " Applied Mathematical Finance) 2.株式デリバティブの部分リスクヘッジ問題: 前年度に引き続き,モデルリスクが存在する市場におけるデリバティブのリスクヘッジ問題に関する研究を行った.主な研究成果は以下の通りである.(1)最小ヘッジコストが非線形性を持つ,つまり取引単位に比例しないことを示した.(2)モデルリスクが存在する市場で部分スーパーヘッジを行う場合,ポートフォリオの分散効果がマイナスになる場合があることを示した.(3)ヘッジ失敗確率の制約は損失の評価関数の期待値に一般化できることを示した. 本研究成果は,国内研究会及び国際会議(7th World Congress of the Bachelier Finance Society)で発表した. 3.金利デリバティブのリスクヘッジ問題: 株価モデルの研究では金利を一定として問題に取り組んできた.しかし,現実には金利は変動するため,金利モデルが必要となる.金利モデルのモデルリスクの研究に着手した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って研究を行い,研究成果を国内・海外の研究会議で公表することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに研究は順調に進展しており,予定通り以下の研究に取り組む. 1.多期間リスク測度問題 2.デリバティブのリスクヘッジ問題 3.上記研究において必要となる数値計算手法の研究
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度は東日本大震災に伴って繰り越した研究資金を活用して研究効率化を推進し,研究成果の公表を計画通りに実施することができた.本年度の繰越金は少額となった. 次年度も予定通りに研究を推進するため,研究効率化のためのシステム整備費用,情報収集・研究成果発表のための研究集会参加費用に資金を活用する予定である
|