研究課題/領域番号 |
23740083
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹内 敦司 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30336755)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | マリアヴァン解析 / ジャンプ過程 / 確率微分方程式 / 確率関数微分方程式 / 密度関数 |
研究概要 |
平成23年度はまず、ガンマ過程から駆動されるジャンプ型確率微分方程式の解に対して、その密度関数に関する誤差評価と正値性について、マリアヴァン解析の立場から研究した。ガンマ過程は、さまざまな良い性質を持った典型的なジャンプ型確率過程(レヴィ過程)であり、ギルザノフ変換を経由した部分積分公式およびリース変換に基づくアプローチによって、ガンマ過程の密度関数と、確率微分方程式の解の密度関数との誤差を評価することができた。さらにはこのアイディアを応用して、確率微分方程式の解の密度関数に関する正値性についても調べた。 次に、確率関数微分方程式の解について、その密度関数の存在性および正則性をマリアヴァン解析の立場から調べた。さらには確率関数微分方程式の駆動過程(ブラウン運動)と解過程の密度関数について、部分積分公式とリース変換を用いることによって誤差評価を行った。また、大偏差原理を経由した解過程の密度関数の評価についての研究も行った。 これらの研究結果を、各大学で定期的に行われているセミナーあるいは研究集会の場を借りて積極的に研究発表を行った。2011年9月上旬にドイツ・ボン大学で開催された「第5回確率解析とその応用に関する国際研究集会」においても研究発表を行った。それぞれのセミナー、研究集会では、数多くの関連研究者たちとさまざまな角度からの研究面でのディスカッションをする機会を得ることができ、大変意義深いものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガンマ過程という良い性質を持ったジャンプ型確率過程に対して、交付申請書に記載した「研究の目的」に沿った形で理論展開ができるということが、研究活動を進めてゆくうちに徐々に分かってきた。このことは、本来思い描いていた自らの研究構想からすれば、一つの通過点でしかないものではあるが、今後の考察を進める上では大変重要でかつ意義深い一歩になると思われるから。
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今後の研究の推進方策 |
前項「現在までの達成度」の中でも述べたように、平成23年度の研究は、今後の発展に繋がるような、大変意義あるものと確信している。これを基にして、今後はさまざまなジャンプ型確率過程に対して、さらなる考察を進めてゆきたいと考えている。その際、部分積分公式を経由したジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の手法を、もう一度見つめ直し、新たな枠組みの構築も模索して理論の展開をしてゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が10,470円生じているが、これは平成24年度研究費(直接経費)の物品費に繰り入れて使用する予定である。研究環境の充実化を図る目的で、関連分野の図書の購入、コンピューター関連機器の購入費用(物品費)として、研究費補助金(直接経費)の約30%を使用する。平成24年度は7月中旬に、トルコ・イスタンブールで確率統計に関する国際会議が開催され、そこで研究発表を行う予定である。また国内で開催予定の研究集会やセミナー等に積極的に参加し、研究発表を行う。それらの機会を通じて、多くの研究者たちと研究に関連するディスカッションを行う。その際に必要となる費用(旅費および人件費、謝金)として、研究費補助金(直接経費)の約70%を使用する。
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