研究課題/領域番号 |
23740083
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹内 敦司 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30336755)
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キーワード | マリアヴァン解析 / ジャンプ過程 / 確率微分方程式 / 確率関数微分方程式 / 密度関数 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度までの研究に引き続いて、ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の新たな枠組みの構築に重きを置いて研究活動を行ってきた。この方法は、駆動過程のレヴィ過程を複合ポアソン過程で近似し、極限操作を経ることによって部分積分公式を導出するものである。この研究の流れに従って、これまで得られていた部分積分公式を統一的に取り扱うことを可能にし、さらには物理におけるボルツマン方程式に関する研究に応用した。その中で得られた研究結果の取りまとめ作業を始動させたところである。 確率関数微分方程式の解についての密度関数の研究において、大偏差原理とマリアヴァン解析を融合させることによって、解過程の密度関数についての漸近挙動については既に昨年度、興味深い研究結果が得られているが、平成25年度はそのさらなる精密化に取り組んだ。研究集会や各大学で行われているセミナーにおいて研究発表を行い、関連する研究者たちとのディスカッションを通じて、新たな研究の方向性に向けた手がかりをつかむことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析に関する新たな枠組み作りを目指す研究については、一連の研究結果の取りまとめ作業に取り掛かっており、交付申請書に記載した「研究の目的」に沿って順調に進んでいる。また、確率関数微分方程式に関する研究も、密度関数の漸近挙動に関してさらなる精密化に取り組んでおり、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の新たな枠組みを利用して、密度関数に関するさまざまな性質を調べてゆきたいと考えている。物理におけるボルツマン方程式に関する研究への応用はその典型例の一つととらえている。また、確率関数微分方程式の研究に関連して、密度関数の漸近挙動の精密化を目指すことと同時に、過去の履歴の情報を少なくすることによる極限操作と従来からよく研究されている確率微分方程式の解の分布との関連性、さらには近年、統計や数理ファイナンスで取り扱われる、確率関数微分方程式と類似の確率過程に対する研究を進めてゆきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた出張を一つキャンセルしたことによって、次年度(平成26年度)使用額が47,434円生じた。 次年度(平成26年度)使用額の47,434円は直接経費の物品費に繰り入れて使用する。次年度が最終年度となっており、これまでの3年間と比べて助成金はやや少なく設定しているためである。 研究環境のさらなる充実化を図るため、図書の購入およびコンピューター関連機器の購入に対して、物品費として研究費補助金(直接経費)の約25%を使用する。 本年6月下旬にリトアニア・ビリニュスにて開催される国際研究集会において研究発表を行う予定である。また、国内で開催予定の研究集会やセミナー等に積極的に参加し、その場を借りて研究発表を行う。その際に必要となる費用(旅費、人件費、謝金)として、研究費補助金(直接経費)の約75%を使用する。
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