大規模臨床医療データの構造解析において、計算ホモロジー理論によって抽出される位相不変量が本質的な情報として有効であることを、本研究課題で示してきました。具体的には、膝十字靭帯損傷を想定したウサギへの腱移植実験のマイクロCTデータに対して、その骨梁構造の2D断面像から3D構造を再構成して、そのベッチ数を定量的に計算するソフトウェアを作成しました。 靭帯再建手術における移植腱周囲の骨孔拡大を抑制するため、手術時に投与する骨粗鬆症の治療薬の効果を、ベッチ数指標を用いて評価しました。特に多変量解析によって、医学統計的に信頼性の高い分析が可能となり、組織学的観察から得られた有意差がベッチ数指標による解析でも確認されました。各種ライブラリソフトウェアを組み込み、実用性の高いソフトウェアプログラムを目指しています。これらの研究結果を、骨形態計測学会、整形外科学会基礎学術集会において発表しました。 最新の理論であるパーシステントホモロジー理論による構造解析にも取り組み、画像処理パラメータ変化によるフィルトレーションを考慮したダイアグラムを計算することによって、骨梁構造のロバスト成分を抽出する事にも成功しました。
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