研究課題/領域番号 |
23740087
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
千葉 周也 東京理科大学, 理学部, 助教 (80579764)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 離散数学 / グラフ理論 |
研究概要 |
共同研究者との定期的打ち合わせや、グラフ理論セミナー・国内研究集会・国際会議等に参加することにより,他研究者と情報交換を行うことによって、「研究実施計画」で述べた研究目的を達成するための問題点のうちの重要な部分についての解決に成功した。より具体的には、「十分に大きい星グラフ」に限定し、それが互いに点素に存在するための最良なErdos型条件を得ることに成功した。これにより、残る問題は「小さい星グラフ」についてのErdos型条件ということだけとなるので、研究対象の星グラフを有限個に制限することができた。従って、23年度中に得た研究成果は本研究の問題の本質的な部分についての解決を与えたこととなるので、非常に意義のあるものであると考えられる。 また、「星グラフ」以外のグラフについて考察し、本研究との関連性を調べることで上記の研究成果を得ることができた。特に、「サイクル」と呼ばれるグラフを中心に、そのグラフが点素に存在するための十分条件に関する研究を行った。サイクルはある意味で、星グラフとは対極に位置するグラフと考えられているが、サイクルの中でも特に重要な研究対象である「ハミルトンサイクル」に関しては、その存在を保証するためのErdos型条件が知られている。従って、「サイクル」について考察することも本研究の進展につながる可能性がある。その中でも「クローフリーグラフ」と呼ばれるグラフ上のハミルトンサイクルに関する研究は、グラフ理論において最も重要な研究課題のうちの一つとなっているので、23年度中はクローフリーグラフに限定し、そのグラフ上の点素なサイクルについて考察し、他研究者との共同研究を経て、数件の論文をまとめあげることに成功した。その結果、本研究の進展へとつながる重要な結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実施計画」で述べられているように、23年度中の研究内容は、本研究目的の本質的な部分である「十分に大きい星グラフが点素に存在するためのErdos型条件」についての考察、及び、その問題の解決を行うことであった。「研究実績の概要」で述べたように、その問題の解決に成功することができたので、計画通りに研究が遂行されていると考えられる。また、23年度中は、「星グラフ」以外に、「サイクル」と呼ばれるグラフについて研究したころ、いくつかの有用な結果を得ることができ、数件の論文をまとめあげることができた。特に、それらのグラフに関する未解決問題間の同値性について調べることで、新たな研究方針を見出すこともできた。これらのことから、23年度中に得た結果は、本研究の最終的目標を達成するための有用な成果になり得ると考えられるので、順調に本研究が進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
23年度中に得た成果を論文としてまとめあげ、その内容の確認・修正を行い、論文の投稿を行う予定である。また、残っている問題については、それらを個々に考察していく予定である。具体的には、現在までに得られた結果の証明をさらに解析することで、グラフの構造を詳しく調べ、研究を進めていく。また、共同研究者の打ち合わせを定期的に行い、研究の問題点、研究方針について議論する。さらに、その研究成果を会議等で発表することにより、他研究者との情報交換を図る予定である。また、23年度と同様に、「星グラフ」と関連するグラフについて考察することで、本研究を進める。特に、「サイクル」に関する問題と、「星グラフ」に関する問題の関係性の解析に重点をおき、新たな研究方針を探っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「研究実績の概要」等で述べているように、23年度中に研究成果を得ることができた大きな理由の一つが「共同研究者との打ち合わせ、及び、他研究者との情報交換」である。23年度中はこれを繰り返し行うことにより、本研究の進展へとつなげることができた。従って、研究成果をあげるための有用な方策と考えられるので、上記の「研究の推進方策」で述べたように、24年度中もこれと同様の計画で研究を進めていく予定である。従って、この計画を実現するためにも、旅費の出費は不可欠であると考えられるため、研究費の一部分をこの目的に使用する予定である。また、「星グラフ」や、それ以外のグラフに関する既存の研究結果を調べるために、離散数学(グラフ理論等)の専門書等が必要であると考えられる。実際、23年度は「点素な部分グラフが存在するための十分条件」等についての結果を調べるために、専門書購入に研究費の一部分を使用した。特に、より広い知識を得るために洋書の専門書が必要となるため、24年度もその費用として研究費を使用する予定である。さらに、論文の執筆・修正・確認、研究成果発表資料作成等のために、文具、コンピュータ関連商品(Office、Acrobat、USBメモリ等)が必要なため、その費用としても研究費を使用する。
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