研究課題/領域番号 |
23740095
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤田 慎也 群馬工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60424206)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | グラフの極値問題 / グラフの辺着色 / グラフの閉路 / 国際研究者交流 / ハンガリー |
研究概要 |
交付申請書における「研究目的」で記載したEGP予想の解決を目指し、研究を進めた。具体的には、「研究実施計画」で述べたようにEGP予想を提起した当人であるハンガリー科学アカデミーのGyarfas教授を訪れ、共同研究を行った。研究計画当初は、純粋に共同研究目的で当該年度の夏にGyarfas教授を訪問する予定であったが、ちょうどその時期に組合せ論の査読付国際会議EUROCOMB2011、及び、Paul Turan Memorial Conferenceの2つの国際会議が2週続いてハンガリーで開催されるということで、これらに参加して情報収集しつつ、国際会議滞在中にGyarfas教授との共同研究も並行して行うことが出来た。この二つの国際会議では、これまで進めてきた研究のうち、EGP予想と深く関連するグラフの辺着色に関する研究成果、及び、グラフの連結度に関する研究成果をまとめた論文が採択され、講演を行うことが出来た。これらの論文に関する国際会議EUROCOMB2011のプロシーディングがElectronic Notes in Discrete Mathematicsに出版された。また、肝心のGyarfas教授との共同研究に関する研究成果については、Gyarfas教授からEGP予想を解決するにあたってグラフの辺の塗り方Pを決めたときに辺着色に用いる各色が誘導する部分グラフの構造解析が非常に重要であるとの指摘を受け、各色が誘導する全域部分グラフが非連結になるようなPを決定する問題について取り組んだ。この問題に関する共同研究の結果、一定の成果を上げることに成功し、成果をまとめて投稿した論文がごく最近Journal of Graph Theoryにアクセプトされた。その他、数本の関連論文が権威ある学術雑誌に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書における研究計画では、当該年度ではEGP予想解決に向けて情報収集を行い、Gyarfas教授を訪問し、ディスカッションを通じて予想解決の糸口を探る予定であった。「研究実績の概要」で詳述したが、この年度では計画した通りの研究が実現されており、権威ある査読付国際会議に2本の論文が採択され、Gyarfas教授との共同研究で得られた成果をまとめた論文についてもグラフ理論の権威ある雑誌Journal of Graph Theoryに採録決定の通知を受けた。また、「研究実績の概要」では字数制限の関係で割愛したが、計画調書における研究計画で述べた国内の研究集会である応用数学合同研究集会、及び、日本数学会年会においても予定通り新しい研究成果を発表することが出来た。以上の事実に基づき、自己点検評価を考えると、初年度としては申し分ない成果をあげたのではないかと思う。EGP予想の解決には、グラフの辺着色に関するさらなる深い考察が必要であるため、その解決にどれ程近付けたかの判断は難しい。しかし、得られた3編の論文における結果は、EGP予想以外のグラフ理論の広範な分野の研究に影響を与える画期的な研究成果であり、今後はこれらの成果をもとに辺着色されたグラフにおける構造解析をさらに進めることでEGP予想の解決を目指すつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
EGP予想解決に向けて、研究計画で述べた通り次の命題の証明について取り組む予定である。命題1.グラフの辺の色の塗り方に関する制約条件Pのもとでr色を用いて着色した完全グラフKは,頂点集合を成分数がr個以下の単色な閉路に分割出来る.性質Pに関する正確な記述は割愛するが、初年度のGyarfas教授との共同研究により取り組むべきターゲットとなる性質Pは既に定まっており、これについて考察を進める予定である。研究計画では、当初スロバキヤで開催される国際会議に出席する予定であったが、今年度5月末に米国で開催される国際会議「Cycles in Graphs」の方に当該分野を手掛ける研究者たちが多数集まる予定となったため、こちらの国際会議に参加するように予定を変更する。その他の研究計画においては大きな変更はなく、予定通り命題1に関する発展的研究に従事しつつ、成果を数本の論文にまとめ、12月に開催される応用数学合同研究集会、及び、平成25年3月開催予定の日本数学会年会においてその成果を発表するつもりである。平成25年度、及び、26年度の研究計画については、今のところ特に変更はなく、研究調書で述べた通りの研究計画を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に上述した5月の米国における国際会議、12月の応用数学合同研究集会、平成25年3月に開催される日本数学会年会における研究情報の収集、及び、研究成果発表のための旅費に使用する予定である。国際会議が当初予定していたスロバキヤから米国へ変更となったため、若干の旅費の増加が見込まれため、初年度の研究費を5万円程度繰越し、今年度請求することとしたい。また、情報収集としてグラフ理論関係の新刊書籍の購入、消耗品としての文具の購入にも研究費の使用を予定している。研究は概ね当初の予定通りに進行しているため、基本的には研究費の使途は研究計画調書で記載した通りの計画に沿って決定するつもりである。
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