研究課題/領域番号 |
23740095
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
藤田 慎也 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (60424206)
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キーワード | グラフの極値問題 / グラフの辺着色 / グラフの閉路 / 国際情報交換 / ハンガリー |
研究概要 |
前年度に得られた研究成果をもとに、引き続き本研究の最終目標であるEGP予想解決に向けて「研究実施計画」で提案したアプローチから研究を進めた。前年度共同研究のため訪問したハンガリー科学アカデミーのGyarfas教授とのディスカッションをEメールを通じて引き続き行った結果、辺着色されたグラフの単色構造を解明するためにはグラフをハイパーグラフに拡張して考察した方が見通しが良く構造を把握出来ることが分かり、その方向で研究を進めることとなった。成果として、辺着色されたハイパーグラフ上の単色構造に関する有用な定理を証明することに成功し、Gyarfas教授らとの共同研究としてElectronic Journal of Combinatoricsに論文が掲載された。 また、これに伴い、ハイパーグラフの研究者との情報交換が研究遂行上非常に有用であると判断したため、当初の研究訪問・国際会議の参加についての選択を再検討し、研究計画を若干軌道修正した。具体的には、ハイパーグラフの研究者が多く集まる国際会議の参加を優先し、国際会議を自身の研究成果発表の場として活用するのみならず、情報収集の場として活用することにした。ハイパーグラフの研究は米国が一番盛んである。そのため、米国で開催された3つの国際会議に参加し、有用な情報を収集することが出来た。さらに、前年度から積み上げてきたラムゼー型問題に関する研究成果が国内において評価され始めたおかげで、「離散数学とその応用研究集会2012」において当該分野に関する特別講演(招待講演)を行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」でも述べたように辺着色されたハイパーグラフ上の単色構造の把握については成果をまとめた論文が権威ある学術雑誌に掲載され、研究は概ね順調に進んでいると言える。ただし、ハイパーグラフに関する研究に時間を大幅に割く必要が生じたため、研究計画全体の進捗に関しては若干の遅れが生じているかもしれない。 「研究実施計画」では、取り組むべき課題として、辺着色されたグラフにおける単色閉路の分割に関する命題1と一般のグラフ上における閉路分割に関する命題2を提案した。これら二つの命題の視点から問題を追求することでEGP予想の解決に取り組んでいるが、本年度においては、命題1に関する研究成果として3編の論文が、また、命題2に関しては1編の論文が権威ある学術雑誌に掲載されたので、研究成果としてはまずまずの成果が得られたと言えると思う。 以上のような研究の進捗度と成果を総括してみると、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展していると判断出来るのではないかと思う。
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今後の研究の推進方策 |
EGP予想の解決に向けて、今後は「研究実施計画」で提案した命題2に関する問題について深く考察を進める必要がある。命題2の具体的なステートメントは以下の通りである。 命題2.ある条件Qを満たすn点グラフGは指定した成分数kからなる閉路分割を持つ。 これに関する研究は熊本大学の千葉周也講師との共同研究においてEGP予想の解決にも有用と思われる条件Qを設定し、一定の成果をあげている。実際、この年度では、成果をまとめた論文がDiscrete Mathematicsに掲載されている。今後はこの結果を利用し、上述のハイパーグラフに関する結果、及び、命題1に関して得られた研究成果を組合わせてEGP予想の解決に取り組む予定である。そのためには、関連分野を研究する国内外の研究者たちとの情報交換・ディスカッションが極めて重要なので、次年度においても研究者交流や国際会議の機会を大事にして彼らとの共同研究を視野に着実に新しい成果を出してゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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