破壊現象への応用を念頭に置き、偏微分方程式の解のき裂先端における挙動を調べた。非線形偏微分方程式の場合は新しい結果を得るまでには至らなかったが、次の研究につながるある解決手法を見つけ出すことができた。き裂と同じ幾何形状の剛性介在物を含む2次元弾性体の境界値問題については、その解の存在と一意性を証明し、その解の介在物先端近傍での収束級数展開を導出した。また本研究の応用として、非破壊検査に関わる、3次元線形粘弾性体における空洞の再構成の逆問題を考察し、物体境界における観測データから未知の空洞の3種の情報を抽出する公式を確立した。
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