研究課題
無限型リーマン面のモジュライ空間の構造の解明のために,タイヒミュラー空間とその上に作用するタイヒミュラーモジュラー群の力学系の考察を行った.無限型リーマン面に対する無限次元タイヒミュラー空間上では,タイヒミュラーモジュラー群の作用の様相は極めて複雑で多種多様の特異現象が観察できるが,タイヒミュラーモジュラー群のカオス的様相とタイヒミュラー空間の非等質性をあわせて,作用の離散性,不連続性,安定性などの力学系を解明した.これまでの研究では,主にリーマン面が有界幾何を持つという双曲幾何学的条件のもとで考察してきたが,最終年度である今年度はこの条件を満たすとは限らない一般のリーマン面を扱うことを試みた.そして,タイヒミュラー空間上の力学系理論を考察する上で,漸近的タイヒミュラー空間の有用性を再度見いだし,漸近的タイヒミュラー空間の各ファイバー(漸近的等角類空間)上での作用に着目した.その結果,擬等角写像類群の停留的な部分群に対して,不連続性が一様に起こることを示した.これはこれまでに得られていた有界幾何を持つリーマン面に対する結果の一般化になっている.この成果は研究集会 The 21st International Conference on Finite or Infinite Dimensional Complex Analysis and Applications (南京大学)で講演し,論文にまとめた.
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Computational Methods and Function Theory
Handbook of Group Actions, Higher Education Press and International Press
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