研究課題/領域番号 |
23740108
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大野 貴雄 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (40508511)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 変動指数をもつ関数空間 / 距離空間 |
研究概要 |
当初の23年度研究計画では,n次元ユークリッド空間ではSobolev空間に対応する2つの変動指数をもつHajlasz空間について,これからの研究計画で必要であろう様々な諸性質や極大作用素の有界性などについて研究を行う予定だったが,同時期に研究を進めていたユークリッド空間上のMusielak-Orlicz空間の研究が応用可能であることが判明したため,2つの変動指数をもつHajlasz空間ではなく,Musielak-Orlicz-Hajlasz空間に対して,当初の研究目的である,関数空間の様々な諸性質や極大作用素の有界性などの研究を行った.ここに,Musielak-Orlicz空間はこれまでのLebesgue空間やOrlicz空間だけでなく,変動指数をもつLebesgue空間,当初の研究対象であった2つの変動指数をもつ関数空間などを拡張した関数空間であるため,本研究で得られた関数空間の性質やSobolevの不等式などは,様々なタイプの楕円型微分方程式の解の存在や正則性の研究に応用されることが期待される. 具体的研究実績としては,Musielak-Orlicz-Hajlasz空間のノルムの定義における下限に達するHajlasz微分の存在やPoincareの不等式,連続関数の稠密性,容量の性質,極大作用素の有界性について研究を行い,予定していた結果を得ることができた.尚,当初の予定では極大作用素の有界性については,有界な距離空間上で結果を得る予定だったが,非有界な距離空間上でも極大作用素の有界性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,2つの変動指数をもつHajlasz空間について,ノルムの定義における下限に達するHajlasz微分の存在やPoincareの不等式,連続関数の稠密性,容量の性質,極大作用素の有界性などの研究を行う予定だったが,より一般的な関数空間であるMusielak-Orlicz-Hajlasz空間に対して,上記で予想していた結果を得ることができたため,当初の計画以上に進展していると思われる.また,極大作用素の有界性についても,有界な距離空間上ではなく非有界な距離空間上でも極大作用素の有界性を示すことができたことも理由の1つである.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,当初の計画通り,23年度の研究成果である極大作用素の有界性を利用することで,距離空間上のMusielak-Orlicz空間に対するRieszポテンシャルのSobolevの不等式を示したい.また,非有界な距離空間上でも極大作用素の有界性を得ることができたので,その応用として,非有界な距離空間上でのMusielak-Orlicz空間に対するRieszポテンシャルのSobolevの不等式についても研究を進めていきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由として,「研究業績の概要」,「現在までの達成度」でも触れたように,研究対象の空間をより一般化したため,購入予定の研究書が変更になったためである. 24年度には次年度使用額と24年度請求額を用いて,変更になった研究書を購入する予定である.
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