研究概要 |
最終年度は,1次元電子格子相互作用系の基底状態の性質を,自己双対錘を不変にする線形作用素の性質を用いて調べた.1次元Holstein-Hubbard模型のM部分空間と呼ばれる部分空間における基底状態の一意性を証明した.この性質の応用として,エネルギーの順序付けと呼ばれる性質を証明した.これらの結果は,Journal of Statisitcal Physics 147 (2012), no. 2, 436-447に掲載された.また,同じく1次元電子格子系のよく知られている模型である,SSHモデルの基底状態についても詳しく調べた.基底状態の一意性,及び,基底状態の興味深い磁気的な性質を証明した.このモデルは、Hopping matrixが格子変数に依存しており,既存の方法では解析が困難であるため,技術的に新しい知見が得られた。加えて,これらの結果は,これまでに知られていなかったものであり,今後の発展が期待される.結果は,Joural of Statistical Physics 149 (2012), no. 3, 519-550に掲載された. 上記以外にも,H. Spohn氏との共同研究の成果を次の論文で発表している:Scale dependence of the retarded van der Waals potential. J. Math. Phys. 53 (2012), no. 9, 095215, 15 pp.
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