研究課題/領域番号 |
23740113
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
田中 敏 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (90331959)
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キーワード | 2点境界値問題 / 解の個数 / 振動解 / フラクタル次元 / 国際研究者交流 / クロアチア / 台湾 |
研究概要 |
平成23年度に投稿していたクロアチアのザグレブ大学の Mervan Pasic 氏とのチャープ関数の振動解のフラクタル次元に関する共著論文が International Journal of Differential Equations に掲載受理された。チャープ関数はよく2階線形微分方程式の振動解としてあらわれる。したがって、今回の結果により、ある2階線形微分方程式の境界値問題の特異解のフラクタル次元が求められることがわかった。 韓国ウルサン大学の Inbo Sim 氏と一次元の p-Laplace 作用素をもつ2点境界値問題の正値解の厳密な解の個数についての共著論文を執筆し、The Royal Society of Edinburgh Proceedings A に掲載受理された。これまで非自励系の一次元の p-Laplace 作用素をもつ2点境界値問題の正値解の厳密な個数に関する結果はほとんど得られていなかったので、今回の結果によりこの分野の研究の進展が期待される。 一次元 Henon 型方程式の正値解の個数を Morse 指数を求めることによって数えることができることに気がついた。そのことを日本数学会2012年度秋季総合分科会の特別講演などで成果発表した。またその結果を論文として執筆し国際学術論文に投稿した。 台湾の S.-H. Wang 氏を招へいし、岡山と京都で講演を行ってもらった。また Wang 氏と研究打ち合わせを行った。Wang 氏は非自励系の2点境界値問題の専門家であり、今回の打ち合わせにより、本研究の進展が大いに期待できる知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成24年度の事柄は要約すると以下の3つである:1.零点をもつ解の一意性について研究する;2.Pasic 氏との共同研究により無限長振動解のフラクラル次元について研究する;3.国際会議 The 9th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications で成果発表を行なう。 1は現在研究中であるが、そのかわりに Morse 指数による正値解の個数の評価方法を発見するとこができた。その方法を応用すれば零点をもつ解の一意性についても得られることが大いに期待される。2は Pasic 氏が11月に来日された際に無限長振動解のフラクラル次元について研究打ち合わせを行った。3はその会議には学内の研究費で出張した。そのかわりに日本数学会2012年度秋季総合分科会の特別講演など国内数か所で成果発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後もおおむね研究計画の通り研究を進めていく。 これまで得られた解析方法を応用して楕円型方程式の球対称解に対する諸問題に対して取り組む。さらに、Pasic 氏との共同研究として関数のグラフのフラクタル次元について研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
7月に台湾で開催される国際研究集会「ICCM 2013」や国内の学会・研究集会に参加し、これまでの研究成果を発表する。本研究に関係する図書を購入し研究を進める。 次年度に使用する予定の助成金は本研究に非常に関わりが深い図書の出版が延期されたためで次年度購入したい。
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