研究課題
エノン写像とよばれる多項式写像族の最初の分岐パラメーターにおけるダイナミクスをthermodynamic formalismにより解析し、不安定方向への伸び率に関係する幾何ポテンシャルの1パラメーター族に対する平衡状態の存在と一意性を証明した。以前の我々の論文では平衡状態の存在のみが示され、一意性が不明であったが、力学系の双曲性を利用してhinducing schemeとよばれる構造を構成し、可算無限個のシンボルを持つ記号力学系に帰着させることで、新たに一意性を証明することができた。また、圧力関数の零点が不変集合のハウスドルフ次元に一致すること(Bowen-Manningの公式)を、この平衡状態を用いて証明した。さらに、平衡状態が統計的によい性質を持つこと(中心極限定理、相関の指数的減衰)を証明した。これら一連の研究成果をまとめた論文``Equilibrium measures for the Henon map at the first bifurcation: uniqueness and geometric/statistical properties"はErgodic Theory and Dynamical Systemsに受理された。しかし、この証明で扱うことのできる温度には制約があり、低温度における平衡状態の存在と一意性は問題として残された。これは今後の課題としたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Ergodic Theory and Dynamical Systems
巻: to appear ページ: to appear