研究課題/領域番号 |
23740124
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋平 埼玉大学, 理工学研究科, 講師 (00465387)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 変分法 / 楕円型偏微分方程式 / シュレディンガー方程式 / 摂動問題 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き南開大学のChern数学研究所、ユタ州立大学所属のZhi-Qiang Wang教授と連立シュレディンガー方程式に関する研究を行った。また、昨年度以前の研究成果である研究論文「Least energy solutions for nonlinear Schr\"odinger systems with mixed attractive and repulsive couplings」の内容に基づく研究発表を国際数学者会議ICMのサテライト研究集会「Satellite Conference on Variational Methods for Nonlinear Elliptic PDEs」で行った。この研究集会の組織委員のJaeyoung Byoen教授から、本研究で得られたエネルギー最小解のピークをもつ位置に関して、より詳細な解析を行うことができる重要な示唆を貰い、Zhi-Qiang Wang教授とJaeyoung Byoen教授とエネルギー最小解がピークを持つ位置の詳細な解析を行う共同研究を開始した。その共同研究ために12月下旬・1月中旬に韓国のKAISTへ、3月下旬に中国のChern数学研究所を訪問し問題の議論と論文執筆を行った。 さらに東京工業大学の柴田将敬助教とは、非線形楕円型方程式に対応する汎関数のleast energy levelとmountain pass valueが等しくなるための条件に関する研究を行った。この研究成果は本年度の3月に明治大学で開催された日本数学会年会で発表した。 また「さいたま数理解析セミナー」に講演者を招いたほか、大阪市立大学と大阪府立大学で開催された「南大阪応用数学セミナー」、大阪大学で開催された「非線型分散・波動方程式の漸近解析」、広島大学で開催された「日本数学会秋季総合分科会」に出席し楕円型偏微分方程式の研究に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の当初の研究計画では前年度に得られた正値解の多重存在を得るための条件を外す研究を行い、その結果をシンポジウムや研究集会で発表する予定であったが、当初参考にする予定であった論文の方法だけでは上手くいかなかった。しかしながら、エネルギー最小正値解の解のピークの位置をより詳細に解析することが可能だと分かり、その解の位置を解析する研究は非常に順調に推移している。また柴田将敬助教との共同研究でも進展が得られ、日本数学会で研究成果を発表している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られた定理では必要となる正値解の多重存在を得るための条件を外す研究を行い、本年度参考にした論文とは異なる論文の手法も取り入れてアプローチを行う。また、これまでの研究で3つの方程式から成る連立非線形シュレディンガー方程式は3つの相互作用の項をもつが、その係数のうち1つが十分大きい正の数で、2つが負の場合正値解をもつことが分かり、さらに負の係数が十分小さい場合、解が境界の近くにピークをもつことが分かっている。本年度はZhi-Qiang Wang教授とJaeyoung Byoen教授と解が境界のどの位置にピークを持つのかを詳細に解析する研究を開始したが、その研究を継続して行う。 これらの研究成果は論文としてまとめ発表する。またその研究成果を研究集会などで講演する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究計画では前年度に得られた正値解の多重存在を得るための条件を外す研究を行い、その結果をシンポジウムや研究集会で発表する予定であったが、当初参考にする予定であった論文の方法だけでは上手くいかなかったため、計画を変更し、別の論文の手法も取り入れてアプローチをすることとしたため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は別の論文の手法も取り入れたアプローチの研究を進め、日本数学会などの研究集会やシンポジウムなどでその研究成果の発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。また、研究実績の概要でも述べたように、前年度に得られたエネルギー最小解のピークの位置の詳細な解析に関する研究に進展が得られているため、その研究成果の発表の経費にも充てる。
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