研究実績の概要 |
今年度は3つの方程式から成る連立楕円型方程式において、相互作用の係数引力的な項と斥力的な項が混じっている場合に領域が球の時でも、正値解の対称性が崩れる点に着目し、正値解の多重存在を証明した。具体的には、空間次元が2のとき、与えられた自然数kに対して、パラメータを十分大きいとき、k個のピークをもつ解が存在することを示した。空間次元が3のときも少なくとも5個の正値解が存在することを示した。この結果は「Multiple positive solutions for Schr\"odinger systems with mixed couplings, Calc. Var. Partial Differential Equations, 54 no.2 (2015), 1373--1392.」にまとめた。 今回の研究対象と同じタイプの単独の方程式の場合、領域が球のであれば、正値解の一意性と球対称性が成り立つことは良く知られている。今回の研究成果は、引力的な相互作用項と斥力的な相互作用項が混じっている連立方程式の場合は、領域がたとえ球だったとしても正値解の一意性が崩れること、しかも正値解の個数はパラメータを大きくすればいくらでも増えることを示したことである。 これらの研究成果を大阪大学で開催された国際Workshop「3rd Chile-Japan Workshop on Nonlinear PDEs」や大阪市立大学で開催された「第25回南大阪応用数学セミナー」等で発表した。
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