研究概要 |
今年度の主な実績は、前年度に発見したz=1.61の銀河群を詳細に調べた論文を出版したこと、ならびにz=2.16にある原始銀河群の解析を大きく進めたことである。前者については、Tanaka et al. PASJ, 2013,65,18として出版され、国際研究会でこの内容に基づいた口頭講演を行い評価を得ている。また、この論文も含めた私の近年の遠方銀河団研究が評価され、2012年度の天文学会研究奨励賞を受賞した。後者に関しては、z=2.16に非常に卓越した銀河の密度超過領域を確認し、その領域を深く近赤外分光観測した。その結果、現在の銀河団の祖先であると思われるこの領域には、すでに星形成を止めた巨大銀河が存在することがわかった。これらの銀河のスペクトルを詳細に調べると、非常に短いタイムスケールで形成されていることが示唆された。これは最新の巨大銀河形成のモデルから予測されるタイムスケールよりも短いようで、将来のシミュレーションに影響を与えるような観測結果である。現在、論文の執筆は最終段階へ来ていて、来年度中には受理されるものと見越している。 その他の実績としては、AEGISと呼ばれるディープフィールドにおいて銀河団探査をし、銀河団カタログを出版した(Erfanianfar, Finoguenov, Tanaka, et al. 2013,ApJ,765,117)。ここでもz~1.5の遠方銀河団候補が発見できた。 また、z=1.5の銀河団候補の電波観測も出版されている(Aravena, Carilli,Salvato,Tanaka, et al. 2012,MNRAS,426,258)。 現在、論文準備中であるが、CFHTLSという有名なサーベイフィールドの銀河団カタログもできている(Mirkazemi, Finoguenov, Tanaka, et al. in prep)。
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