研究課題
平成24年度には、前年度までに開発を行った自動撮像・解析システムの運用と改良および新天体や変動天体の検出システムの作成を行った。2013年3月までに240夜観測を行い、解析に使える約80000枚の画像を取得し、延べ約140000000個の天体を検出、測光して測光データベースを作成した。105㎜ F/2.0のレンズを用いたV-bandの測光システムでは、5-11等の天体に対して5%以下の測光精度が得られ、検出限界は13.5等であった。1枚の画像の解析および新天体の検出にかかる時間は一次処理およびWCS書き込みに約15秒、データベースへの登録及びカタログマッチングによる等級ゼロ点の決定に約20秒、新天体の検出に60-120秒程度かかるため、おおむね3分以内に解析結果を得ることができた。本システムで発見された変動天体のうち、B型輝線星の特異な増光については分光観測との同時モニターを行っており、Vバンドの測光値と輝線強度の変動の相関等についての研究に発展している。なお、本システムで得られたデータは http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp:8080/~maehara/VSdata.py で公開している。また、開発したシステムで得られたデータ以外を用いた研究として、恒星フレアの発生頻度の統計解析をケプラー宇宙望遠鏡の測光データを用いて行った。この研究の中で、太陽と同じG型主系列星約83000個の測光データから、太陽で起こる太陽フレアの最大10000倍のエネルギーを解放する「スーパーフレア」を365例発見した。太陽と温度や自転周期が同程度の天体でも同様にスーパーフレアが起こることがわかり、星の数と観測期間から推定した発生頻度は太陽フレアの100倍の規模のスーパーフレアで800年に1回、1000倍の規模のスーパーフレアでは5000年に1回であった。
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Nature
巻: Volume 485 ページ: 478-481
DOI:10.1038/nature11063
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120517_1.htm