研究課題
本研究課題では、超新星爆発・ガンマ線バーストの輻射流体計算コードを開発し遠方宇宙・初期宇宙観測へ応用することを目的として研究活動を行った。最終年度には特に以下のような研究を行った。1.相対論的流体中でのランダムウォーク過程と実質的な光学的深さの導出:相対論的流体中の輻射輸送には相対論的ビーミング効果や光学的深さの角度依存性等の相対論的効果を考慮に入れる必要がある。それらを考慮した相対論的流体中での光子の散乱回数に対する解析的な式や、有効光学的深さに対する相対論的な解析的表式を初めて導出した。その結果、有効光学的深さは、物質が静止しておりかつ散乱が支配的な場合には散乱に対する光学的深さと吸収に対する光学的深さの幾何平均となるが、相対論的流体中では吸収に対する光学的深さに比例するという事が分かった。2.相対論的多次元輻射輸送計算コードの開発:球面調和関数を用いて非等方散乱を取り扱うSHDOMコードを元に、時間依存性、ローレンツ変換、コンプトン散乱を取り扱うことが可能な相対論的多次元輻射輸送計算コードを開発し、様々なテスト計算を行い計算コードの検証を行った。フランス・パリで開かれた研究会「Gamma-Ray Bursts in the Multi-messenger Era」にてその成果を発表した。3.星風中で爆発する電子捕獲型超新星の光度曲線:平成25年度に行った電子捕獲型超新星の光度曲線の研究の拡張である。電子捕獲型超新星親星の質量放出について考慮することで、超新星1054の後期光度曲線が超新星放出物質と星周物質の相互作用によって説明できることを示した。このうち、1.2.については本研究課題が特に主題としていた相対論的輻射流体計算に向けた研究であり、研究期間全体を通じて最も困難と考えていた相対論的多次元輻射輸送計算コードの開発に成功したことは今後につながる重要なステップとなった。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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