研究課題
今年度は、本研究の対象天域であるUltraVISTAサーベイの中間公開データ(2012年2月; J=24.5)と、本研究で取得した深いzバンドデータ(27.2等;1.5σ; 1平方度)を組み合わせ、各天体の可視~近赤外線の色を調べることで、z~7で星形成を活発に行っている銀河候補を10個検出した。これらの測光データに対して星形成銀河と晩期型星(=主な誤混入天体)のスペクトルフィッティングを行うことで、特に高赤方偏移である可能性が高い4個を選定した。これらは静止系紫外光で-22等より明るく光度関数が十分に調べられていない希少なサンプルである。従来よりも広くかつ深い可視近赤外データを組み合わせたことでこのようなサンプルを追加することが出来た。今回の候補天体を既存の星形成銀河サンプルに加え、z~7の紫外光銀河光度関数を求めた。その結果、新規サンプルは、既存研究で知られた-22等より暗い光度関数を、シェヒター関数を仮定して明るい等級へ延長した場合と決定誤差の範囲で矛盾しない。この結果と既存研究と合わせると、z=6から7(1.6億年程度)の間に一番明るい星形成銀河の個数密度にほとんど変化がないことが示唆される。しかし、新規サンプルの個数密度は単純なシェヒター関数による予測よりも10倍ほど高く、べき関数(10^-1.28mag)でもよくフィットされる。従って、z~7の明るい星形成銀河の個数密度がシェヒター関数に従うかどうかは未だ確定せず、この時代に有意に変化している可能性も残された。2013年3月にこの4天体に対してすばる望遠鏡による分光追観測を行った。1個にはz~7天体のライマンαと思われる輝線が低信頼度ながら同定された。また、他3天体にも明らかにz<1.5の近傍天体からの連続光・輝線が検出されなかったことから、本研究のサンプル選定方法は混入が少なく妥当であると考えられる。
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