本研究は、小型衛星計画 DIOS に搭載される X 線望遠鏡用のミラー開発として、従来の製作方法では難しい 4 回反射望遠鏡の大口径部において薄板ガラスと円錐形金型を組み合わせた反射鏡面転写用母型を新規開発しミラーの製作および評価を行った。これは 4 回反射型のみならず将来の望遠鏡の大口径化に対応したミラー製作の確立を目的とするものである。 平成 24 年度の研究では、大口径ミラー製作のための金型の設計 (Φ500mm、1/6 分割) し放電加工を用いて新規製作した。径と分割数が研究実施計画の記述と若干異なるのは現有する装置と製作工程の都合上であり技術の確立という点では違いは無いと考える。厚さ 100 um の薄板ガラスと新金型を用いてミラーを製作した。結像性能としては従来のミラーに比べ 3 倍程度と劣るが、従来のフォイルレプリカ法では困難であった Φ500 mm の大口径のミラーの製作が可能であることを検証できた。結像性能は製作方法を最適化することによって改善が期待できる。また Φ600 mm の望遠鏡のハウジングとミラーの保持・アライメントを目的とするプレートを新設計し、全周 1/4 分のハウジングを製作した。加工に放電加工を用いることで目標としていた形状精度 +/- 5 um に抑えることができ、DIOS 衛星の要求する望遠鏡結像性能のハウジングにおける位置決め精度を達成することができた。 本研究は初年度で小口径1層での4回X線反射像で DIOS の要求する結像性能(5分角)に近い 5.5 分角を達成し、2 年目で大径ミラーおよびハウジングを製作した。 研究代表者の資格喪失のため 2 年目が最終年度となり 3 年目に予定されていた大径での X 線反射像測定は行えなかったが、DIOS 用望遠鏡の開発および大口径ミラーの製作の基礎技術の確立することができた。
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