今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に基づき,まず非可換ASDYM方程式を運動方程式に持つようなN=2弦理論の有効作用を具体的に記述し, 非可換ASDYM方程式の厳密解の具体的構成と弦理論的解釈および弦理論への応用を推し進める. また非可換Ward予想の具体例を介して, 低次元ソリトン方程式に対しても同様の議論を行う. さらにSeiberg-Wittenマップを具体的に与え, 可換側と非可換側の対応付けを行い「非可換空間上での可積分系」とは何かを定義する. より具体的には, 背景フラックス中のゲージ理論の記述との対応を具体的に示し,(Non-abelianゲージ群の場合の)Seiberg-Wittenマップを見出すことにより,非可換可積分方程式とある種の可換可積分方程式の対応を具体的に与える.これによりPoisson構造, Hamilton構造を定義し, Liouvilleの意味での保存量の独立性を証明する. 次に,ラグラジアン形式から出発した可積分系の再定式化, 分類を行う. 特に古典可積分系と量子可積分系との関係を議論するために, 無限次元の対称性が明白になるような変数を用いてラグランジアンを再構成し, アノマリーの判定条件となる幾何学的障害を具体的に明らかにする. (この議論は主に可換空間の設定で行う.)余力があれば,5次元以上の高次元ブラックホール解構成といったさらなる応用も展開する.
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次年度の研究費の使用計画 |
非可換性を時間方向に入れた場合の可積分性の基礎付けを行うため,Glasgow大学の Strachan氏と2012年8月頃に3週間議論を行う.そのための海外旅費が必要となる.また, ラグラジアン形式から出発した可積分系の再定式化, 分類を行うため,立教大学の神保道夫氏,京都大学の高崎金久氏と研究打合せを行う.そのための国内旅費が必要となる.また専門的知識の吸収のため,専門家を6人程度名古屋大学に招へいし,国内の研究集会に参加する.そのための国内旅費が必要となる.得られた成果は英文誌に論文発表し,さらに各種学会や各大学のセミナーで口頭発表を行う.そのために,国内旅費,海外旅費および,論文別刷代,発表のためのコンピューターソフトウェアといった物品費が必要である.
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