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2013 年度 実施状況報告書

非可換ソリトンの研究と弦理論・可積分系への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23740182
研究機関名古屋大学

研究代表者

濱中 真志  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (70377977)

キーワードADHM構成法 / インスタントン / モノポール / ハイパーケーラー計量 / 非可換幾何 / ソリトン / 可積分系 / 反自己双対ヤン・ミルズ方程式
研究概要

昨年度に引き続き,中津了勇氏(摂南大学)と共同で, 非可換空間におけるインスタントン解のAtiyah-Drinfeld-Hitchin-Manin (ADHM)構成法について詳しく調べた.ADHM構成法とは, インスタントン解のモジュライ空間とADHMデータのモジュライ空間との1対1対応(双対性)を基にしたものであり,その双対性の証明を非可換空間上に拡張することが一つの目標である.非可換空間上のゲージ理論の記述には,スター積を用いる方法とオペレータ形式による記述がある.前者は,物理的・幾何学的意味は比較的分かりやすいが,非可換パラメータに関する収束性の取り扱いが難しい.後者は, 非可換パラメータの任意の値に対して議論を展開できるが,幾何学的解釈が難しい.今年度は可換空間での厳密な双対対応から非可換変形することでスター積を用いる記述でのADHM双対性の証明を完結させた.非可換パラメータに関する収束性は仮定しているが,モジュライ・パラメータはすべて含んだ解空間を取り扱っている.
また,菅野浩明氏,村中大地氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)と共同で,2重周期モノポールのモジュライ空間の計量を研究し,Gibbon-Mantonのアイデアを適用することで,ある漸近領域でのハイパー・ケーラー計量(ALH型)を具体的に構成した.
平成23年度から取り組んできたソリトン理論・可積分系の非可換空間への拡張については,昨年度末にささやかな進展があったこともあり,研究会で現状報告を行った.特に反自己双対ヤン・ミルズ方程式については, 招待論文の好機を利用して総合報告の形でまとめた.
上記の成果を国内外の各大学のセミナーや研究会で発表し, 幅広い分野の専門家と質疑応答を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ADHM構成法の非可換空間への拡張について,主要な結果はほぼ出尽くしたため,総合報告的な主論文を(少なくとも2本)本格的にまとめている.発表には至っていないが満足いく結果であり,来年度が楽しみである.これ以外にも,新しいハイパー計量の導出に成功し,また主要研究計画の一つであったソリトン理論・可積分系の非可換化についても一通りの議論をまとめることができた.順調な一年であったと言えるだろう.

今後の研究の推進方策

まず,中津氏との共同研究の成果を主論文として一刻も早く論文発表し,世界各国で成果発表を行いたい.それと同時に弦理論や可積分系への応用について,残された一年を一日一日精一杯,解明に向けて全力で努力する.

次年度の研究費の使用計画

次年度に重要な国際会議が控えており,また主論文の発表が少し遅れたため,次年度に国際会議成果発表を繰り越す必要が生じた.
6月のカナダでの国際会議および9月のヨーロッパでの国際会議で成果発表を行う.これにより繰り越し分はすべて有効利用される.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hyperkahler metrics from monopole walls2014

    • 著者名/発表者名
      M. Hamanaka, H. Kanno and D. Muranaka,
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 89 ページ: 065033

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.89.065033

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Noncommutative solitons and quasideterminants2014

    • 著者名/発表者名
      Masashi Hamanaka
    • 雑誌名

      Physica Scripta

      巻: 89 ページ: 038006

    • DOI

      10.1088/0031-8949/89/03/038006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ソリトン理論・可積分系の非可換空間への拡張2014

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志
    • 雑誌名

      素粒子論研究 電子版

      巻: 17 ページ: 1-12

  • [雑誌論文] 非可換インスタントンのADHM構成法2014

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志, 中津 了勇
    • 雑誌名

      九州大学応用力学研究所 研究会報告

      巻: 25AO-S2 ページ: 21-28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ADHM construction of noncommutative instantons2013

    • 著者名/発表者名
      M. Hamanaka and T. Nakatsu
    • 雑誌名

      arXiv

      巻: arXiv:1311.7143 [hep-th] ページ: 1-22

  • [学会発表] ソリトン理論・可積分系の非可換空間への拡張

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志
    • 学会等名
      京大基研研究会「場の理論と弦理論」
    • 発表場所
      京大基研
  • [学会発表] 非可換ADHM構成法とインスタントン数の起源

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志, 中津 了勇
    • 学会等名
      日本物理学会 素粒子論領域
    • 発表場所
      高知大学
  • [学会発表] 非可換空間上のインスタントンのADHM構成法

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志, 中津 了勇
    • 学会等名
      日本数学会 幾何学分科会
    • 発表場所
      愛媛大学
  • [学会発表] 非可換インスタントンのADHM構成法

    • 著者名/発表者名
      浜中 真志, 中津 了勇
    • 学会等名
      九大応力研研究会「非線形波動研究の拡がり」
    • 発表場所
      九州大学
  • [備考] アインシュタイン牧場

    • URL

      http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~hamanaka/ebokujo.html

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公開日: 2015-05-28  

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