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2013 年度 実施状況報告書

センターボーテックス描像による強相関クォークグルーオンプラズマの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23740194
研究機関高知大学

研究代表者

斎藤 卓也  高知大学, 教育研究部自然科学系, 助教 (50448023)

キーワードcenter vortex / quark gluon plasma / quark confinement
研究概要

申請課題である量子色力学の位相欠陥であるセンターボーテックスを軸にクォークグルーオンプラズマの研究を行った。3年目に入り【具体的な研究項目】の第3番目の課題である状態方程式の研究を行った。格子ゲージ理論で計算される状態方程式は高温においても予想される摂動論の結果と一致しないという結果が得られている。これは、相転移後も残存する何ならかの非摂動論的効果によるものと想定し研究を進めた。その結果、非摂動論的オブジェクトであるカラーボーテックスを削除すると著しく状態方程式が変化することを発見した。これは、量子色力学に基づくクォークとグルーオンからなるプラズマは高温状態においても強く相互作用していることを示唆しているものと考えられる。実験と近い現象論的解析結果と定性的には一致する結果となっている。この新しい結果は、非可換ゲージ理論である量子色力学の特徴を非摂動論的に示した重要なものであると見なされる。また、本研究はすべて有限温度における現象を扱ってきたが、さらに有限密度におけるさまざまな非摂動論的効果を探求すべく、SU(2)格子ゲージ理論でのシミュレーションも進行中である。これにより、あまり行われていなかった有限密度クォークグルーオン相におおけるグルーオンやクォーク伝搬関数の密度変化を捉えることが可能となり、これに、閉じ込めボーテックスがどのように絡んでくるのかを研究する。これまでの研究と組み合わせ非アーベリアン理論の非摂動論的な理解がさらに進むと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画どおりにシミュレーション作業は進んでいるが、計算時間に多くの時間がかかる上に、数値結果の解釈に時間を必要としている。数値結果を定量的に説明できるモデル解析が必要であると認識している。

今後の研究の推進方策

これまでの計画通りに研究を進め論文作成をする。さらに、今後は有限密度系でのハドロン物質の数値シミュレーションを通じで、高密度状態における量子色力学の閉じ込め現象の理解を試みる。また、そのさいには、これまでに使った、センターボーテックスの概念もまた重要になると考えている。これにより、閉じ込め状態と有限温度・密度状態における総合的な研究が初めて可能となり、量子色力学の非摂動論的構造の正確な理解が得られる。

次年度の研究費の使用計画

研究進展が当初の計画より若干の遅れのため。
前年度の作業と当初の予定どおりの研究計画を推進するために当予算が必要である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Color screening potential at finite density in two-flavor lattice QCD with Wilson fermions2013

    • 著者名/発表者名
      Junichi Takahashi, Keitaro Nagata, Takuya Saito, Atsushi Nakamura, Takahiro Sasaki, Hiroaki Kouno, Masanobu Yahiro
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D

      巻: 88 ページ: 114504-[1-14]

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.88.114504

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heavy quark potential at finite imaginary chemical potential2013

    • 著者名/発表者名
      J. Takahashi, T. Sasaki, M. Yahiro, K. Nagata, T. Saito, H. Kouno, A. Nakamura
    • 雑誌名

      Proceedings of Science

      巻: Lattice 2013 ページ: 166-[1-7]

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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