研究課題
運動量分散を制御した高速3次元レーザー冷却による高強度ビームの極低エミッタンス化及びクーロン結晶化のため、系統的な分子動力学シミュレーションを行った。京都大学の小型蓄積リングS-LSRの正確な電磁石の配置を想定して、前年までの成果を基に、連続ビームの直線状クリスタルビームが形成された線密度(数千個/m)よりも1桁程度高い密度において、40keV 24Mg+イオンのレーザー冷却過程や冷却後のビーム特性を調べた。この線密度では、レーザー冷却により0.1秒程度で1e-12m・radオーダーの極低エミッタンスビームが生成されたが、冷却後の平衡状態において水平方向位置に依存した進行方向運動量をイオンに持たせることができなかったため、結晶化はできなかった。しかし、十分な集光強度を持つ2本のレーザーの周波数変調や照射軸の変位量を調整することで、3次元的に規則的に粒子が配置する秩序化構造が形成されることを見出した。この秩序化ビームの構造を詳細に調べたところ、既知のクーロン結晶状態とは異なり、個々のイオンが相対的な位置関係をほぼ維持したまま、らせん状に回転しながらリングを周回していることを明らかにした。また、S-LSRの入射ビーム特性、リングの運転条件及び現有レーザーの性能を考慮して、到達可能なエミッタンスやクーロン結晶化の可能性を調べた。レーザーの出力は低く、周波数は固定であるにも関わらず、比較的長い3秒間の冷却により、入射イオンの約70%を3次元的に冷却することができた。リング内の全粒子数が1万個程度の強度では、到達エミッタンスは1e-11m・radオーダーであった。これはS-LSRでの観測結果とよく一致しており、本シミュレーションにより実験で達成されたビームの状態を再現することができた。一桁低い強度では直線状クリスタルビームの形成が示唆され、これを実現するための今後の実験の指針(ビームの低強度化及びその観測手法の開発)を明らかにした。
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JPS Conference Proceedings
巻: 1 ページ: 013014
10.7566/JPSCP.1.013014
第10回日本加速器学会年会議事録
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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