研究課題/領域番号 |
23740214
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
若林 泰生 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (80447359)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 新同位体 |
研究概要 |
本研究では、N=126閉殻の安定性による新たな存在領域を検証するため、新同位体である219Np(Z=93)や220Pu(Z=94)の合成実験を行う。当該年度においては、合成実験に必要な照射日数や、その実現可能性の検証を行うため、それらより計算予測合成断面積が約一桁大きく、220Puの娘核である216U(Z=92)の合成実験を行なった。この216Uも未知の原子核(現在、ウラン元素で最も陽子過剰な新同位体)であり、220Pu合成時の確かな証拠となる。216U合成実験は、理化学研究所において、入射ビームに82Kr、標的に138Baを用いた、82Kr+138Ba→216U+2n反応により行なった。結果、合成断面積上限10pbまでの照射を行なったが、合成の確認には至らなかった。この値は予測断面積に比べ、約一桁小さい値である。216Uに関しては合成に至らなかったものの、この反応系の複生成核で、予測断面積が同程度の217U(既知核種)に関しては概ね予測通りの合成のイベント数を確認できた。他にも、217Paなど、216Uを除いた複生成核に関しても、概ね予測通りの断面積であった。また、217Uのα崩壊に関して、解析・議論中であるが、213Thへの新たな遷移、もしくは、217Uのアイソマー状態からの遷移が存在する可能性がある事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)震災の影響により、原子力機構のJAEA-RMSにおいて予定していた実験等、遂行することが出来なかった。(しかしながら、理化学研究所(理研)の協力により、理研において実験を行うことが出来た。)(2)216Uの合成の確認後、219Npや220Puの実験計画を立てる予定であり、当該年度において、216Uの合成を確認することが出来なかったため、次年度においても、216U合成実験を行う必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
理研で実験を行なった際、JAEA-RMSで用いる回転標的のサイズが違うため、また、所属研究室のスパッタ装置のサイズによる制限のため、小型の回転標的を用いたが、大強度ビームを照射した際、飛散による標的厚の減少が見られた。それを防ぐため、大型の回転標的を用いる必要性が生じた。このサイズの回転標的を製作するため、理研において、スパッタ装置の開発・改良を行い、標的を作製する。その後、216U合成に関して、更なる照射実験、もしくは異なる反応系を用いた合成実験を行い、断面積の評価を行う。その後、219Np・220Pu合成実験を行う。平成24年度より、所属が原子力機構から理化学研究所に変わるが、より効率的に研究を進めるため、必要に応じて、両研究所での実験遂行を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・入射ビームに用いるための安定同位体ガスの購入。・標的作製のための安定同位体元素の試料の購入。・大型回転標的フレームの製作。・スパッタ装置のテストに必要な部品等の製作。
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